8月の終わりから9月の始まりへ。創作、防災、長期主義、慈善、海外展開――今週のことばには、目の前の変化に備えながら一歩ずつ前へ進む姿勢が通底していました。
今週の中国語ことわざ・成語
集思广益(jí sī guǎng yì)
多くの人の知恵を集め、より大きな成果につなげること。初音ミクに始まる参加型の創作文化や、中国で広がる「二次創作」の文脈によく似合う表現です。
居安思危(jū ān sī wēi)
平穏なときにも危機を忘れず、備えを整えること。「防災の日」に限らず、台風、地震、出張時の安全確認にもそのまま通じます。
厚积薄发(hòu jī bó fā)
力を長く蓄え、機が熟したときに発揮すること。リニア開発の長い時間軸や、すぐには利益を生まない未来への投資を考える手掛かりです。
滴水穿石(dī shuǐ chuān shí)
水滴も長く落ち続ければ石に穴をあける――小さな努力でも継続すれば大きな成果になるという比喩です。一本足打法を磨いた王貞治氏の反復にも重なります。
水涨船高(shuǐ zhǎng chuán gāo)
水位が上がれば船も高くなることから、周囲の条件が整うことで価値や水準も上がる、という意味。空港単体ではなく交通網や周辺都市との連携まで見る視点を与えてくれます。
乐善好施(lè shàn hào shī)
善い行いを喜び、進んで人を助けること。慈善を一時の善意で終わらせず、支え合いが続く仕組みにできるかが問われます。
百闻不如一见(bǎi wén bù rú yí jiàn)
百回聞くより一度見るほうがよく分かる、という「百聞は一見にしかず」。現地へ赴き、五感で確かめることの価値を端的に示します。
今週の中国ネット用語
- 二创(èr chuàng):「二次創作」の略。音楽、映像、イラストなどを生み出す参加型文化を指します。
- 韧性(rèn xìng):本来は「しなやかさ」「粘り強さ」。経済や組織のレジリエンスの意味でも多用されます。
- 去去班味(qù qù bān wèi):仕事で染みついた疲れや緊張感を取り払おう、という軽やかな言い回しです。
- 长期主义(cháng qī zhǔ yì):短期の成果に振り回されず、長期的な価値を積み上げる姿勢です。
- 脆皮打工人(cuì pí dǎ gōng rén):体調を崩しやすい働き手を「もろい皮」にたとえた自嘲表現です。
- 赛博功德(sài bó gōng dé):ネット上の小さな親切や善行を、冗談めかして「サイバー功徳」と呼ぶ表現です。
- 出海(chū hǎi):字義は「海へ出る」。ビジネス文脈では、中国企業やコンテンツの海外進出を表します。
今週の名言・格言
- 「クリエイターがクリエートしやすい環境を作る会社」――伊藤博之。創作を囲い込むのではなく、参加の入口を広げる発想です。
- 「多算勝、少算不勝」――『孫子』。準備と検討の厚みが、結果を左右するという警句です。
- 「日に新た」――『大学』。毎日の小さな更新を積み重ねる姿勢を促します。
- 「時よ止まれが本音だけど、我々は歩まないといけない」――王貞治。達成に安住せず、次へ進む覚悟がにじみます。
- 「動機善なりや、私心なかりしか」――稲盛和夫。大きな判断ほど、その出発点を問い直す言葉です。
- 「企業は社会の公器」。企業活動を社会との関係から捉える、日本の経営観を端的に表します。
- 「まだ理解できていない気がする」――黒澤明。経験を重ねても探究を止めない創作者の姿勢です。
今週の難読漢字
- 迸る(ほとばしる):勢いよく噴き出す。創作意欲が迸る。
- 忽せ(ゆるがせ):いい加減に扱うこと。備えを忽せにしない。
- 驀進(ばくしん):まっしぐらに進むこと。目標へ驀進する。
- 研鑽(けんさん):学問や技術を深く磨くこと。日々研鑽を重ねる。
- 熾烈(しれつ):勢いが激しく、競争などが厳しいこと。
- 篤志家(とくしか):社会事業や慈善に熱心な人。
- 艫(とも):船尾、船の後方部分。
今週の健康ひとこと
イヤホンの音量、季節の変わり目の疲れ、長時間移動、運動不足。今週の健康テーマは、派手な対策より「小さな予防」の積み重ねでした。音は控えめに、移動中はこまめに立ち、出張日でも数分だけ体を動かす。人を助ける行動が自分の心にもよい影響を及ぼすという視点も、慈善の日らしい一節です。
編集後記
一週間を並べると、ことばは単なる知識ではなく、行動の向きを整える道具だと分かります。「居安思危」で備え、「厚积薄发」と「滴水穿石」で蓄え、「出海」で外へ向かう。九月の入口にふさわしい、小さくても確かな前進の語彙集になりました。