日中路線"急冷"で減便ドミノ、消える路線や韓国シフトの行方

日中路線"急冷"で減便ドミノ、消える路線や韓国シフトの行方
中国外務省(外交部)の渡航自粛勧告を受け、日中間の航空路線で大規模な減便・運休が相次いでいる。11月15日から3日間で約49万件の予約がキャンセルされ、中国系航空会社10社以上が運航計画を大幅に見直す事態となった。

図1: 事態の時系列推移 - 2025年11月14日から22日までの主要な動き
渡航自粛勧告の波紋
中国外務省(外交部)が日本への渡航自粛を呼びかけたことを契機に、中国国内の旅行代理店や航空会社に予約キャンセルが殺到した。複数の海外メディアや航空アナリストの集計によれば、11月15日から17日までの数日間で約49万1,000件の航空券キャンセルが発生した。中国中央テレビの報道では、11月15日以降のキャンセル総数は54万件以上に達したとされ、これは予約全体の約30%に相当する規模である。

図2: 衝撃の数字 - 予約キャンセルの急増と日別推移
続いて11月21日から22日にかけて、中国系航空会社各社が相次いで減便や運休を発表している。中国国際航空(エアチャイナ)は、大阪/関西〜上海線を週21便から16便に削減し、東京/成田〜重慶線も週7便から4便に減便すると発表した。いずれも冬ダイヤ期間(現時点では2026年3月頃まで)を対象にした計画とみられる。
中国系航空会社が次々と減便、運休も
中国東方航空の対応はさらに踏み込んだものだった。同社は大阪/関西〜成都/天府線を12月1日から全面運休とするほか、関西〜北京/大興線を週14便から8便へ、関西〜武漢線を週7便から4便へと大幅に削減した。さらに、名古屋/中部〜西安線も2026年1月6日から運休する方針を示している。
中国南方航空も、新潟〜ハルビン線について2026年1月12日からの運航再開を見送った。また、大阪/関西発着の長沙線、大連線、鄭州線、上海線、広州線で段階的に減便を実施している。特に広州線は週14便から11便への削減となり、関西国際空港と中国南部を結ぶ重要な路線に大きな影響が出ている。

図3: 航空会社別影響① - 中国国際航空・中国東方航空の減便詳細
その他の中国系航空会社も同様の動きを見せている。吉祥航空は神戸〜南京線を11月29日から2026年3月28日まで運休し、関西〜長沙線と関西〜無錫線も12月1日から運休する。四川航空は札幌/新千歳〜成都/天府線の就航を中止し、天津航空は関西〜天津線を11月27日から運休した。北京首都航空も札幌/新千歳〜北京/大興線を12月9日から運休する予定である。春秋航空は大連〜福岡線を12月に運休するほか、多数の路線で調整を進めている。

図4: 航空会社別影響② - 吉祥航空・四川航空・天津航空の運休状況
11月・12月で45便減、関西発着路線が最大の打撃
アビエーションワイアー(Aviation Wire)の分析によれば、11月21日から30日までの期間で、18路線において26便の減便が発生した。当初計画では1,744便の運航が予定されていたが、実際には1,718便に減少した。深セン航空の運城〜中部線が運休となったほか、14路線で減便が実施されている。
12月1日から31日にかけては、13路線で19便が減便される見通しである。計画段階では5,504便が予定されていたが、5,485便に調整された。春秋航空の大連〜福岡線が運休となり、10路線で減便が行われる。

図5: 全体の影響規模 - 11月・12月の減便数比較と路線数推移
減便の影響は特に関西国際空港で顕著である。中国東方航空、中国南方航空、吉祥航空などが関西発着の複数路線で減便や運休を実施しており、関西発着の一部路線で便数が大きく削減されている。
一方、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は、現時点で目立った運休や減便を行っていない。スプリング・ジャパンも当初計画通りに中国路線を再開しており、11月25日には成田〜ハルビン線の運航を開始した。日系航空会社への直接的な影響は軽微にとどまっているが、需給バランスの変動には継続的な注視が必要である。

図6: 日系航空会社の対応(対比) - 中国系と日系の対応の違い
観光業界に深刻な打撃、2,000人超のキャンセル
航空便の減便は、観光・宿泊業界に深刻な影響を及ぼしている。毎日新聞の取材によれば、中部国際空港近郊のホテルでは2,000人分以上の宿泊予約がキャンセルされた。三重県松阪市のホテルでは約100人分の予約がキャンセルされ、キャンセル料を得ることもできない状況に陥っている。12月以降の予約も低迷しており、年末年始の需要期への影響が懸念される。

図7: 経済への波及効果 - 観光・宿泊・交流への影響
中部国際空港では、中国東方航空などの主要航空会社が12月からの減便を決定したことで、空港周辺の経済活動にも影響が広がっている。中国からの団体旅行客を見込んでいた観光施設や小売店も、売上減少に直面している。
自治体間の交流事業にも波及している。愛知県半田市と中国徐州市の交流訪問が中止となり、愛知県と江蘇省の公務員交流会議も延期された。長年にわたって築かれてきた地方レベルの友好関係にも影を落としている。
韓国路線へのシフト進行、さらに減便の可能性
今後の見通しについて、航空業界関係者は慎重な見方を示している。現在、10社以上の中国系航空会社が減便や運休の対応を継続しており、春秋航空など多数の航空会社がさらなる調整を検討中である。減便規模は今後さらに拡大する可能性が高い。

図8: 今後の見通しとリスク - 韓国路線へのシフトと懸念される影響領域
年末年始の需要期を控え、地方路線の脆弱性も露呈している。大都市圏の路線は需要が底堅いものの、地方都市と中国を結ぶ路線は採算性が悪化しやすく、今回の減便でも地方路線が多く含まれている。新潟〜ハルビン線や札幌〜成都線など、就航が計画されていた新規路線の中止は、地方の国際化戦略にも打撃となる。
航空専門サイトの分析では、注目すべき動きとして、中国系航空会社が日本路線から韓国路線へ供給をシフトさせている点が挙げられている。日本への渡航自粛勧告が出された一方で、韓国路線には制限がないため、航空会社は機材や乗務員を韓国路線に振り向けている。
日本から中国への渡航を計画している場合は、各航空会社の公式サイトで最新の運航情報を確認することが推奨され、必要に応じて韓国や香港経由などの代替ルートの検討も選択肢となる。(編集:耕雲)

図9: まとめと情報ソース - 要点の整理と次のアクション
情報ソース
Sky Budget「中国エアラインの減便・運休まとめ」
https://sky-budget.com/2025/11/22/japan-china-aviation-news-4/
Aviation Wire「緊迫の日中関係、航空路線への影響」
https://www.aviationwire.jp/archives/333909
時事通信「日本路線、相次ぎ削減」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025112101048&g=int
毎日新聞「中国団体客キャンセル、航空便減便の動き」
https://mainichi.jp/articles/20251122/k00/00m/040/067000c
NHK WORLD-JAPAN「Air China to reduce flights」
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20251121_11/
TRAICY「吉祥航空、日本路線で運休・減便」
https://www.traicy.com/posts/20251121356910/
神戸新聞「吉祥航空の神戸-南京線、運休へ」
http://www.kobe-np.co.jp/news/economy/202511/0019734961.shtml
The Guardian「Chinese travellers estimated to have cancelled 500,000 flights to Japan…」
https://www.theguardian.com/world/2025/nov/18/chinese-travellers-estimated-to-have-cancelled-500000-flights-to-japan-amid-rising-tensions
AFP系配信(Yahoo等)「500,000 China-Japan trips thought cancelled after travel advisory」
https://sg.news.yahoo.com/500-000-china-japan-trips-093543504.html
