1|予約販売が好調、公開前から高まる期待
11月3日、『鬼滅の刃 無限城編 第一章』の中国公開が14日に確定したとの発表を受け、中国メディアと映画プラットフォームが一斉に報道を行った。中国語タイトルは『鬼灭之刃:无限城篇 第一章 猗窝座再袭』である。
中国の映画業界向けデータ分析プラットフォーム灯塔专业版(Lighthouse Professional)の発表によると、前売り(予約)販売実績は9日正午時点で8,500万人民元に達し、日本での公開初日(2025年7月18日)の興行収入(16億4605万4200円)を上回ったことになる。近年の日本アニメ映画の中国興収では『すずめの戸締まり』が約8億元を記録しており、同作を一つのベンチマークとして注目が集まっている。

8日20時23分時点で8000万元を突破したことを示す、中国の映画データ分析プラットフォーム「灯塔专业版」の投稿。
2|未成年に"但し書き"付きの劇場公開
周知の通り、「鬼滅の刃」の劇場作品第1号である前作『無限列車編』は一般公開に至らなかった。報道では暴力表現等が理由だとされる。対して、本編の配給・宣伝側の説明にもとづく各報道によると、今回は長尺の維持が強調され、海外版と同一の155分で上映が予定されている。
近年は過度な表現を抑えつつ年齢配慮を強める運用がうかがえ、宣伝物では未成年者に向けた注意喚起の文言が付される例が見られる。『無限城編』についても「未成年人谨慎选择观看(未成年者は慎重に鑑賞を)」との注意書きが宣伝画像に添えられた。

配給側のWeibo公式アカウントの投稿画像。「未成年人谨慎选择观看(未成年者は慎重に鑑賞を)」の注意書きが添えられている。
3|"無修正ノーカット"の壁
さて、公開を待ち遠しいファンたちがこぞって歓迎している「一刀未剪(ノーカット、"無修正版")」という触れ込みの妥当性は、公開版の実映像での確認が必要だ。告知内容から台詞の大幅な削除は想定しにくいが、果たして“小道具”の描写にも修正が施されることがないかは予断を許さない。
というのは、韓国向けの映画配信では炭治郎の耳飾りのデザインに修正が行われた経緯がある。その影響は劇場公開に至らなかった中国にも及び、コラボ商品などでその修正版の図案が使われている。ただ、EC上では原案準拠の意匠を用いたフィギュアも多く見られるのが実状だ。修正の背景や経緯についてはここでは割愛させていただき、本文末に添えた参照記事をご覧いただくなどしていただけたらと思う。

ラッキンコーヒーとのコラボ商品の宣伝ポスターから抜粋。炭治郎の耳飾りには、幾何学的に簡略化された耳飾りデザイン(韓国版と同様の修正版)が使われている。

ローソンが販売したコラボ商品でも、耳飾りの図柄には変更が行われていた。
4|表現処理の落としどころは?
それゆえ今回の中国公開で原案の意匠が維持されるかは一つのチェックポイントとなる。原案維持で落としどころが得られれば、「一刀未剪("無修正・ノーカット版)」の説得力が増す。対して小道具に部分的な加工が見られれば、たとえ上映時間やセリフがカットされていなくても、「最小限の修正を伴う"事実上ノーカット版"」との断りを付けざるを得ないのではないか。
ともあれ、本作は映像・音響演出を大型フォーマット(IMAX/ドルビーシネマ)前提で作り込んでおり、IMAXやドルビーシネマでの提供が観客動員の呼び水となる。本土公開が軌道に乗れば、関連グッズ、タイアップ、次章以降の輸入(引進)判断にも好影響が波及していくことが期待される。上映枠の供給力や編成の柔軟性にも追い風となる。14日、いよいよ幕が上がる。(編集:耕雲)

映画の配給側SNS公式アカウントで配信された画像に映る耳飾りは、原作準拠の「オリジナル版」のデザインのままとなっている。

