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2025-10-31

中国免税、11/1から買い方が変わる!スマホもドローンも解禁、予約して受け取る"消費回流"策


中国免税、11/1から買い方が変わる!

スマホもドローンも解禁、予約して受け取る"消費回流"策

中国は2025年11月1日から免税店政策を大幅に改定する。今回の改定は、国産品の取り扱い拡大取扱品目の追加設置・面積の柔軟化、そしてオンライン予約と店頭受取の制度化を柱としている。出入境旅客の利便性を高め、「消費回流(消費の国内還流)」を図るのがねらいだとされる

1. 今回の政策の位置づけと基本用語

制度設計の背景と目的

本改定は、財政部・商務部・文化と旅游部・海関総署・税務総局の五部門による省庁連名通知「关于完善免税店政策支持提振消费的通知」(財関税〔2025〕19号)によって定められた。本通知は2025年10月29日に成文し、11月1日に施行される[1]

その目的は、「海外消費の国内回流促進」「外国人(外籍人員)の入国時消費誘引」「免税小売市場の健全化」にあり、制度全体のトップダウン設計を補強する位置づけが行われている[2]

財政部等五部門による通知の要点:国産品支持、品目拡大、権限緩和、利便化・監督強化

図1:新政策の四つの柱(人民日報より)

免税店の分類

免税店は「対外開放口岸・市内特定区域・出入境輸送手段上」に設置される店舗を指し、以下の4類型に整理される(海南離島免税は別枠の制度として区別される)。

分類設置場所対象旅客主な機能
口岸出境免税店対外開放口岸の出境エリア出国旅客出国時の購入・受取
口岸入境免税店対外開放口岸の入境エリア入国旅客入国時の購入・受取
市内免税店市内の特定区域出国旅客事前購入・口岸での受取
出入境輸送手段上航空機・船舶など出入境旅客機内・船内での購入

2. 四つの柱:政策改定の要点

① 国産品の「みなし輸出」を制度化

口岸出境免税店と市内免税店で販売する国産品を「輸出とみなす」措置が導入される。これにより、増値税・消費税の還付・免除が可能となり、国内メーカーの免税チャネルへの参入が促進される[1]

実務上の要請: 免税店には国産品比率の引上げが求められ、国産品販売用の営業面積は、原則としてその経営面積の4分の1(25%)を下回ってはならないと規定された[1]。老舗や無形文化遺産関連のクリエイティブ商品(非遺文創)など特色商品も対象となる。

運用: 通関・還付・免除の細則は海関総署が財政部・税務総局と定める予定である。

② 取扱品目の拡大

携行性の高い消費財を中心に、以下の品目が新たに追加される[3]

  • 携帯電話
  • マイクロドローン
  • スポーツ用品
  • 保健食品
  • OTC(一般用)医薬品
  • ペットフード

三類型(口岸出境・口岸入境・市内)の品目表は統合・最適化され、付属の「経営品目」に従う。

③ 設置・面積の柔軟化(権限の移譲)

口岸出境免税店の設置や、口岸出境・口岸入境免税店の経営主体の決定方法変更等の承認権限が省級政府に移譲される[1]

柔軟な運用: 営業面積は口岸の発注者(または施設管理者)と経営主体の協議で定められることになる。運営中の面積変更も協議のうえ海関の承認で可能となる。

例外: 中国民航局直属空港は従前の取扱いを維持する。

④ 「オンライン予約—店頭受取」制度の確立

旅客の利便性を高めるため、「オンライン予約(网訂)—店頭受取(店取)」が三類型(口岸出境・口岸入境・市内)で正式に制度化される[1]

利便性の向上: 旅客は出入境計画に合わせて事前予約が可能である。

決済・受取の柔軟化: 市内免税店で予約し、入国時に入境免税店で決済・受取することも可能である。この場合、その購入は「口岸入境免税店での購買」とみなされる。

監督: あわせてプロセス最適化と監督強化が進められる。

3. 運用の仕組み

国産品は「税込で一括仕入れ→免税品倉庫に搬入→販売後に輸出申告→税務で輸出還付」という流れで運用される。通関は個人自用物品としての監督を基本とし、輸出検験検疫や電子底帳番号の記載は不要と整理された。輸出還付率は国家の統一退税率に従う。これにより、国産品を免税チャネルに投入する手続が明確化し、国内供給と免税販売の接続が制度上担保される[1]

4. 利用ガイド(旅客・事業者の実務ポイント)

旅客向け

  1. 事前に免税店のオンライン窓口で予約し、出入境証件と購入証憑を持参して指定の口岸店舗または受取点で受け取る。
  2. 市内で予約し、入境口岸で受け取れる都市では、入国時に入境免税店の規定が適用され、その場で決済・受取が可能である。
  3. 取扱品目は店舗ごとに異なるため、事前に店舗の告知を確認する必要がある。

事業者向け

  1. 国産品は免税倉庫で分別管理し、販売後に輸出申告する。還付申請は輸出通関申告書(報関単)・増値税専用発票・税収納付書等に基づく。
  2. 国産品の売場面積は原則として25%以上を目安とする。
  3. 新設・変更は省級の関係部門が承認する(民航局直属空港は従前どおり)。面積は施設管理者と経営主体の協議および海関承認で運用可能となる。

5. 期待効果と留意点

期待効果

「国産品のみなし輸出」と「予約・受取の制度化」により、出入境旅客の利便と選択肢は大きく広がる。追加品目はデジタル機器や日用・ヘルスケア、ペット関連に及び、市内免税の実用性が高まる。政府はこれを「消費回流」と免税小売の健全発展の基盤強化と位置づけている[3]

留意点(制度境界)

  • 本通知は海南離島免税を直接対象としないため、一般の口岸・市内免税と区別して理解する必要がある。
  • 市内予約→口岸受取は口岸入境免税店の規定が適用される。都市や店舗により取扱可否や品目が異なるため、事前に店舗告知を確認することが重要である。
  • 国産品の還付・監督の細則は別途策定予定であり、初期運用では通関・在庫の実務で追加確認が生じる可能性がある。

6. まとめ(実務に効く三点)

ポイント内容示唆
国産品の制度ルート確立「みなし輸出」と還付・免除の明確化により、国産品の免税チャネルへの投入が現実的に。国内メーカーは免税市場を新たな販路として戦略に組み込むべきである。
品目拡大の商機携帯電話、マイクロドローン、OTC医薬品など、デジタル・ヘルスケア分野のニーズを取り込み可能に。関連事業者は免税店チャネルへの参入を検討すべきである。
地方主導の展開省級政府への権限移譲と柔軟な面積設計により、地域の実情に応じた免税店展開が加速する見通しである。地方政府や空港・港湾運営者は、免税店の配置・運営戦略を見直す必要がある。

参照情報

[1] 中国政府網:关于完善免税店政策支持提振消费的通知(財関税〔2025〕19号)https://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/202510/content_7046461.htm
[2] 新華網:支持提振消费!免税店政策"升级"http://jjckb.xinhuanet.com/20251031/66c497ce65cb4f77906a35ee63e9563b/c.html
[3] 財政部:财政部等五部门联合印发通知完善免税店政策支持提振消费http://gss.mof.gov.cn/gzdt/zhengcejiedu/202510/t20251030_3975255.htm




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