上海でも地下鉄駅のゴミ箱問題が浮上、「見つけられない」市民や訪中観光客の悩みにどう応える?
日本ではゴミ箱不足が訪日客の大きな不満となっていることが観光庁の調査で明らかになっている。一方、上海でも地下鉄駅でゴミ箱が探しづらいという市民の声が多いという。環境対策や安全確保といかにバランスを保ちながら、観光客や市民の利便性をどう確保していくかが今後の課題といえそうだ。
訪日客の憂鬱、ゴミはどこに捨てる?
観光庁のホームページによると、同庁は訪日外国人旅行者が快適に観光を楽しめる環境整備を目的に、2023年度に調査を実施した。コロナ禍後初の調査で、持続可能な観光への関心も取り上げられた。同調査は2023年11月から2024年2月にかけて、新千歳、成田、羽田、関西、福岡の主要国際空港で行われ、4,012件の回答が得られた。
回答者の60%以上が20~30代で、70%近くがリピーターであった。困ったこととして最も多く挙げられたのは「ゴミ箱の少なさ」(30.1%)と「施設スタッフとのコミュニケーション」(22.5%)であり、これらは前回調査より5%以上増加している。
出所:国土交通省観光庁のウェブサイトから
地下鉄駅のゴミ箱が減った!?
ゴミ箱の設置をめぐる問題は、上海でも物議を醸すトピックとなっている。地下鉄駅のゴミ箱が少なく、指示標識もないため、配置場所がどこなのかわかりにくいとの不満が多くの市民から寄せられているというのだ。上海地下鉄は速やかに改善措置を講じる予定だとし、カスタマーサービスセンター付近やホームに移動する階段のや乗り換え通路の入口など目立つ場所にゴミ箱を設置するなどの最適化に取り組んでいる。
ただし、地下鉄車内や構内でのゴミ箱の増設には慎重な対応が求められることだろう。閉鎖された空間であればなおさら、空気環境の悪化や清掃面での問題が派生することが懸念される。そもそも列車内となれば飲食はタブーとされており、新たなゴミが発生することはまずない。小さな可燃物なら家に持ち帰るべきだという意見もある。
安全対策から見てもゴミ箱の管理は重要であり、それは日本、中国とて変わらない。東京では1995年の地下鉄サリン事件を契機に公共スペースや地下鉄駅からゴミ箱が撤去された経緯がある。また、東京都交通局は2022年5月9日に都営地下鉄各駅、日暮里・舎人ライナー日暮里駅及び西日暮里駅の改札口付近に設置されていたごみ箱を撤去した際にも、背景の事情として「安全性向上の観点」と事前に告知していた。
地下鉄駅のゴミ箱の適正な数は?
上海の地下鉄駅に配置するゴミ箱の適正数をどうするかは、まだ模索が続くかも知れない。2023年版『上海市道路、公共広場等廃棄物箱配置ガイドライン』によると、観光地や商業ゾーンでは50メートルごとに、小規模な公園や緑地では1,500平方メートルごとにそれぞれゴミ箱を設置するという基準がある。しかし、地下鉄駅内のゴミ箱設置には明確な規定がないという。
上海市内に設置されたゴミ箱は2019年の時点で6万2,000個。それが環境対策とゴミ分別効率向上を目的に、2022年には3万6,000個に減少した。その後、住民や観光客から不便さを訴える声が増えたため、2023年には再配置が行われ、4万4,671個に増加したと言われる。
インバウンド好調でどう影響?
上海の地下鉄駅でゴミ箱が探しづらいのは、数量を欠いているよりも配置場所が駅ごとに異なっており、一貫性がないことが関係している。上海市はこれまでにもゴミ分類の啓発活動を強化してきた。今後、小さな可燃物などは自宅に持ち帰る習慣を推奨する等のキャンペーンを展開していくことも想定されそうだ。
中国ではビザ発給要件の緩和や短期滞在のビザなし渡航の導入などの政策の後押しもあり、2024年1月から7月にかけて外国人旅行者が前年同期比で約2.3倍に増加したという。今後さらに外国人観光客が増加することが予測されるなか、上海における「ゴミ箱問題」は、日本と同様、インバウンド対策が絡んだ問題へと発展していく可能性があるのではないだろうか。(編集:耕雲)
参考
Tokyo to remove all rubbish bins from train and metro stations (timeout.com)
ごみ箱の撤去について | 東京都交通局 (metro.tokyo.jp)
訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査を実施しました | 2024年 | 報道発表 | 観光庁 (mlit.go.jp)
Shanghai to see more rubbish bins in public areas (shio.gov.cn)