アジアで「最も歩きにくい」都市に意外な名前、"シティライド"で名誉挽回か?
「シティウォーク」が若者の間でブームとなって久しい。短期間で観光スポットを巡る特殊部隊型(特殊兵式)旅行とは異なり、都市をゆっくりと歩きながらその隠れた魅力を楽しむライフスタイルは「シティライド」という新たなトレンドへと進化しつつある。では、シティウォーク、シティライドに適した都市はどこだろう?
都市との対話、没入型体験のニーズ
「シティウォーク(City Walk)」が近年、中国の若い世代の間でトレンドになっている。これは、都市を徒歩でゆっくりと探索するリラックスした旅行スタイルであり、短期間で多くの観光スポットを駆け足で巡る「特殊部隊型(特殊兵式)旅行」とは一線を画すものである。
シティウォークを好む人々は、有名な観光地を急いで巡ることに満足せず、質の高い生活や体験を求める。彼らは、時間をかけて都市の隠れた魅力や美しさを発見しながら歩くことに意義を見出そうとしている。都市の文化や雰囲気を深く感じながら、都市と対話するように歩く、いわば没入型の体験を重視した旅行スタイルである。
1.上海:武康路-安福路-烏魯木斉中路 2.北京:魯迅博物館-白塔寺-歴代帝王廟-広済寺-地質博物館 3.広州:茘湾湖公園-唐荘園-粤劇芸術博物館-永慶坊 4.杭州:五柳巷-南宋御街-十五奎巷-城隍閣-江湖匯観亭 5.武漢:古徳寺-蘭陵路-黎黄陂路-巴公房子-洞庭街 6.蘇州:同徳里&同益里-蘇州公園-楽益女子中学校-章太炎故居 7.重慶:通遠門-山城巷-羅漢寺-白象居-湖広会館-東水門 8.成都:芳華街-火焼堰碧翠巷-玉林総合市場 9.南京:南秀村-上海路-陶谷新村-青島路 10.西安:粉巷-徳福巷-湘子廟街-太陽廟門 |
シティウォークに適した都市は?
さて、言語学習プラットフォームPreply(プレプリー)がこのほど発表した「アジアで最も歩きやすい都市(The Most Walkable Cities in Asia)」というランキングが意外性にあふれていて面白い。これはアジア30都市を対象に、AIを活用して1日の徒歩観光ルートを作成し、その距離や時間、歩数、消費カロリーを計算して評価したものである。
ランキングのトップはドバイで、主要観光スポットを徒歩で巡るのに44分、歩数にして3,800歩、消費カロリーは190カロリーと、最も省エネ観光が可能な都市として評価された。プノンペン(2位)、ホーチミン(3位)はコンパクトな市街地と平坦な地形が特徴で、エレバン(4位)やシンガポール(5位)も歩行者に優しい都市として整備されていると見られている。
ランキング結果に疑問も
ただし、「歩きやすさ」のランキングはシティウォークの魅力度を示すものではない点に注意が必要だ。都市を巡る際に消費されるカロリーを計算するにしても、移動時間と距離だけでは測りきれない。地勢や気候にも左右されるものであり、坂道を歩くなら平坦な道を歩くよりカロリー消費が多くなるのは自明である。また、登山が魅力的なアクティビティであるように、非効率なカロリー消費を強いられることがシティウォークの魅力を引き立てることもあり得るという逆説も成り立つのではないか。
一方、歩くのに負担の少ない平坦な道でも、犬のフンを避けたり、ビルの上から空調の排水が落ちてこないかと注意を求められるのなら、それだけでストレスが増えるのは想像に難くない。衛生的で安全な道路環境が確保されていることは、シティウォークを楽しむうえで必須の条件である。ただし、長崎や大連のように市内に起伏の富んだ道が多い都市が「歩きにくい街」としてディスられるとしたら、それはフェアな評価とはいえないだろう。
台北、大阪が「ワースト」の理由は?
このように考えると、大阪がワーストにランクインしていることに異議を唱える人がいてもおかしくはない。大阪は碁盤の目のように街路が整備され、東京と比べると降水量も少ない。都心部では雨が降ってもアーケード街が発達しているため、傘を差す機会が少なくて済む。そして何よりも「食の都」である。道が混雑すれば辟易とするが、散策のプロセスの随所に食を堪能できる瞬間が散りばめられているのは魅力的だ。
アジアの「トップ・オブ・ザ・ワースト」にランクされた台北は、「歩行者地獄」と海外メディアから評されるなど、交通安全の面での課題が指摘されている。車の信号無視や逆走などの不法行為の脅威にさらされてのシティウォークでは素晴らしい体験とは程遠い。台北におけるシティウォークの魅力を底上げするには交通上の安全確保が重要なテーマとなってくるだろう。
なお、Preplyのブログでは、「アクティブに活動し、自らチャレンジするなら、台北は最適な目的地である」と言及されている。アジアでワーストにランクされた都市が「シティウォークの魅力」に欠けているわけではないことが理解できる。
シティライドの新潮流
実は、シティウォークに代わる新たなトレンドとして、昨今SNSで注目を集めているのが「シティライド」である。中国本土ではシェアリングバイクが普及し、低コストで柔軟に利用できる強みがある。また、自前でマウンテンバイク等を調達し、サイクリングをフィットネスや趣味として楽しむ人も少なくない。都市レジャーの選択肢として自転車が位置づけられるのは自然な流れだ。
このトレンドは、歩きにくさで(アジアの)トップ・オブ・ザ・ワーストと評された台北に伸びしろが多くあることを示している。現在、「台北・サイクリング」といったキーワードでネット検索すると、多くの観光情報がヒットする。そもそも世界最大級の自転車メーカーであるジャイアントやメリダを擁する“自転車王国”であることを考慮すれば、台北が「アジアで最もサイクリングしやすい都市」として認められる可能性は十分に考えられる。
ちなみに、Preply(前述)は、アジア各国の都市の訪問リピート率、観光客への開放度、英語コミュニケーションの人気度、多様性と寛容性、安全指数、外国人への親しみやすさなどの観点から「アジアで最も友好的な都市」というランキングも発表しているが、トップに輝いたのは台北である。11位に甘んじた東京と比べても、安全指数スコアや外国人への友好度で台北が圧倒的に高いスコアを獲得している点が目を引く。(編集:耕雲)
❖「The 20 Friendliest Cities in Asia (preply.com)」から 【アジアで最も友好的な都市】 |
参考
The Most Walkable Cities in Asia (preply.com)
The 20 Friendliest Cities in Asia (preply.com)