その他
2024-09-05

“油断”許せぬ航空燃料問題、中欧路線で欧州勢劣勢に!日中線の行方は?

航空交通


航空業界は、持続可能航空燃料(SAF)の導入や価格競争の激化などで大きな変化を迎えている。ウクライナ戦争や燃料不足の影響で欧米勢が中国路線で劣勢に立たされる中、中国の航空会社が競争優位を拡大している。今後の国際線動向や日中路線の新規就航・増便の行方にも注目が集まる。


航空燃料、供給不足の衝撃

当Weixin公式アカウントでは、日中路線のフライト情報を不定期に取り上げているが、8月13日付の記事に対し、「新規就航や増便が短期の運航に終わる可能性もある」との指摘を事情通の読者からいただいた。これは、航空燃料の生産低下に加え、タンクローリー運転手の不足や労働時間の規制が、航空燃料の供給不足に影響している状況を反映した見解だ。航空会社が長期契約を結べず、短期契約での運航を強いられている現状は各種メディア報道でも明らかにされている。

特に深刻なのは地方空港で、国内便が優先され、国際便の運航が停止されているケースが多い。日本の空港では帰路用の燃料が確保できないため、出発時に必要な燃料をすべて積み込む「タンカリング」(※)を実施することで、乗客数を減らさざるを得ないという非効率な運用が発生しているとされる。

(※)積み増し(Tankering)。本来は燃料価格の安い空港で燃料を購入して運び、燃料価格の高い空港での燃料を少なく購入することで、航空会社が燃料コストを削減する方法


中欧路線で欧州各社が劣勢

日本側の航空燃料の調達体制に“油断”があったかどうかはさておき、欧米航空各社が中欧路線で苦戦している。背景には長引くウクライナ戦争の影響がある。ロシア領空の閉鎖により飛行時間が延び、運航コストが上昇した。2024年7月時点で、中国本土発着路線を運航する欧米の外資系航空会社は19社にとどまり、2019年(27社)と比べて8社少ない。KLMオランダ航空のCEO、マリアム・リンテル氏は、ロシア領空を迂回することで、コストが最大30%増加すると試算している(9月5日付け「民航数据控」Weixin公式アカウント記事より)。

大きな衝撃を与えたのは、英国のヴァージン・アトランティック航空が10月26日からロンドン‐上海直行便を停止すると発表したことだ。スイス航空やルフトハンザ航空が中国便の減便を検討していることや、フィンエアーが北京のオフィスを閉鎖したことも注目された。


中国航空会社の競争優位

一方、中国の航空会社はロシア経由の直行便を増やすことで、大きな競争優位性を獲得している。中国国際航空のフライトは、他国の航空会社に比べ飛行時間が短く、その結果、燃料コストの負担が軽減される。「民航数据控」Weixin公式アカウントの記事によると、特定の路線では中国国際航空が75%のシェアを占めているという。

多くの海外航空会社が中国路線を減便する中、ユナイテッド航空が2020年に運航を中断していたロサンゼルス‐上海直行便を2024年8月29日に再開したことが注目された。週4便の運航で、10月27日からはデイリー運航となる予定だ。同路線を運航する航空会社は、ユナイテッド航空のほか、中国東方航空のみとなっている。

出所:中国航班“挤压”外国航空公司,回国乘坐中国航班或成“新常态” (qq.com)


業績復活への課題:北米路線の低迷

中欧路線での存在感や国産ジェットの投入など華々しいニュースがある一方、中国の航空大手は経営面で依然として厳しい状況にある。中国メディアが報じた2024年上半期(1月~6月)の決算では、中国東方航空が27億6800万元、中国国際航空が27億8000万元、中国南方航空が12億3000万元の純損失をそれぞれ計上した。前年と比較すると赤字幅は縮小しているが、アフターコロナの中でも黒字化は遠い。

国際線需要の低迷、国内線での顧客争奪、さらには高速鉄道との競争激化による運賃の低下が、中国大手3社の業績改善を阻んでいる。また、収益の大きな柱である米中間の航空便が、2019年の2割程度にとどまっていることも障壁となっている。


SAF生産で中国が攻勢:

ここで、持続可能航空燃料(SAF)に関するニュースにも触れておきたい。中国は2024年6月5日、国産大型旅客機C919とARJ21リージョナルジェットのデモフライトを実施した。中国石化がバイオジェット燃料生産技術を用いて独自開発したSAFは食用廃油、いわゆる「地溝油」を原料としていることが話題になっている。

「地溝油」は通常の航空燃料に40%の割合で混合され、従来の航空燃料に比べて最大80%の炭素排出削減が見込まれるが、この「地溝油」が近い将来、争奪戦になる可能性もある。というのも、2024年1〜6月に米国がバイオ燃料の原料として輸入した「地溝油」の約60%が中国からのものであったからだ。米国が2021年まで「地溝油」の輸出国であり、2022年の時点で中国からの輸入シェアは0.1%に過ぎなかったことを考えると、その急増ぶりは顕著である。中国国内での需要が高まり供給不足となれば、輸出量は自然と減少し、5年以内に中国からの輸出がゼロになる可能性もあるという。


日中路線の行方は?

以上、航空市場を取り巻く昨今の環境について、昨今話題になったニュースを紹介させていただいたが、最後に日中路線の新規就航・増便・再開に関する情報にも触れておくことにしよう。ここで列挙した路線の中にはあくまで冬季ダイヤでの運航に限定されるなど中長期の運航となるのか予断が許されないものもある。また、日米中の航空情報サイトから情報を収集したが、過不足なく網羅されているわけではない。正確かつ詳細な情報については航空各社の公式サイト等で確認していただくのが望ましい。(編集:耕雲)

*


【スプリングジャパン】

成田-大連を開設[9/1~]

【海南航空】

羽田-北京を週3往復で再開[9/1-]



【中国東方航空】

名古屋-煙台-太原を週3往復[9/3-]



【中国南方航空】

福岡-広州を増便[9/1-]


【厦門航空】

那覇-福州[9/10-]/杭州‐名古屋[9/20-]



【春秋航空】

福岡-広州を毎日運航へ[9/20-]




【中国国際航空】

羽田-北京を増便[9/27-] 福岡‐上海デイリー化[9/28-] 札幌‐北京を毎日運航[9/30] 名古屋‐北京デイリー化[10/27-]


【日本航空】

名古屋-上海を毎日運航へ[10/27-]



【香港エクスプレス航空】

広島‐香港の運行再開[11/1-]



 参考 


 おすすめ  
中国渡航に欠かせないデーターSIM&NSN対策は中国移動香港CMlink社の「中国商楽通」をお勧め!中国ローミング回線利用で、5G/4G每日上限無制限使い放題! 30日間契約・月額JPY9,980【488元】


 おすすめ  
5G/4G中国ローミング上限無制限、毎日使い放題グローバルSIM「中国商楽通企業版」。日系中小企業の国際業務を安心・安定・格安で支援します。

 おすすめ  
「邦人NAVI」アプリをダウンロードし、会員登録で日本の地域IP制限AM/FMラジオを聴取!

この記事をシェアする

関連記事

その他

揺れる夏空の旅:酷暑と乱気流と航空リスク

2025-08-22

航空交通
その他

「最強パスポート」と「ベスト航空会社」──2つのランキングに異状あり

2025-07-28

航空交通
その他

格安航空券を”縦横無尽”、最安を突き止める極意は?民航直販にも注目!

2025-07-22

航空交通