中国の地下鉄“爆増”時代が終焉、新計画に歯止め、路面電車の是非めぐる議論も
中国で急速に進められてきた地下鉄と高速鉄道の建設が減速している。政府の厳格な審査基準や債務リスクの高まりにより、多くの都市で計画の遅延や縮小の動きが見られている。路線の“爆増”時代は終わりを告げ、今後は経済的安定と成長のバランスを見極めた持続可能な計画へとシフトしていきそうだ。
地下鉄“爆増”時代終了へ
中国政府は8月26日、全国的な地下鉄網の拡大に制限をかける政策を打ち出した。財政部、住建部、工信部、公安部、交通部、水利部が共同で発表した「市政基盤施設資産管理方法(試行)」がそれで、同政策では、地方政府の債務リスクに対応するために政府投資による施設建設に対して厳格な審査手続きと予算管理を求める規定が明確に示されている。
特に、収益が見込めない、または不十分な施設建設のために違法に借金をすることが厳しく禁止された。中国のメディア報道では、地下鉄建設の大規模な拡張は終息し、建設スピードの減速を予測する見解が多く見られる。
北京地下鉄11号線の計画縮小
交通運輸部が9月5日に発表した中国全土の軌道交通に関する統計データによると、2024年8月時点で軌道交通が運営されている都市は54、路線数は311に達し、総延長は1万363キロメートルに及ぶ。直近では佛山地下鉄3号線の新区間、24キロメートが開通した。
一方、北京市では建設中の地下鉄が11路線、総距離は222.7キロメートルに達するものの、主要路線の一つである11号線二期工事の規模が当初計画の23.8キロメートルから17.4キロメートルに縮小されている。駅数も17から14に減少した。計画の見直しや縮小は地方都市となるともっと顕著に現れていると推察される。
出所:中国交通運輸部Weixin公式アカウント
ハルビンが直面するハードル
例えば、黒竜江省ハルビン市の場合、同市の債務率が高いため、地下鉄二期計画は何度も却下されてきた。同市は旅行目的地として人気が高く、冬季アジア競技大会の開催も控えているが、地下鉄の総延長は82.1キロメートルにとどまっており、全国ランキングで第30位である。ちなみに、福建省泉州市の場合は、経済規模や財政面では基準をクリアしていても、市街地の人口が要求水準に達していないため地下鉄建設が許可されないという。
この背景には、2018年以降、地方政府の債務危機が表面化し、地下鉄建設には公共財政予算収入が300億元以上、地域総生産(GRP)が3000億元以上、市区の常住人口が300万人以上という条件を満たすことが求められるようになったことがある。路面電車の場合は、公共財政予算収入が150億元、地域総生産が1500億元、市区の常住人口が150万人以上という基準がある。
路面電車は中国と合わない?
拡張方針の停止は、路面電車(ライトレール)にも影響を及ぼしている。建設停止や運営停止、撤去が全国で相次いでいる点が注目されている。広東省佛山市で開通した水素エネルギーを利用した路面電車は、2023年8月5日に一時運休となった。また、珠海の有軌電車1号線は3年間の運休を経て撤去が決定された。その他、甘粛省天水市や北京の亦荘T1線でも停止が予想されている。
路面電車が問題視されている理由は、利用者が少なく費用対効果が悪いためであり、「渋滞を悪化させる」「財政浪費」といった批判も多い。ヨーロッパでは環境に優しい交通手段として成功例が多いが、中国では運営上の課題が多く、「中国の風土に合わないのでは」という議論がSNSで展開されている。日本では東京がいち早く路面電車のネットワークを築いた都市であったが、戦後にそのほとんどが撤去された。この決定が都市計画のうえで最適だったかどうかは、今でも結論が出ていない部分がある。(編集:耕雲)
参考