コーヒー出前で激化する即時小売のシェア争奪戦、抖音と京東の攻勢に美団はどう応戦?
中国の即時小売市場が急成長を続けている。抖音と京東は全国展開を加速させ、シェア争いに拍車をかける。一方、美団も新たな施策で迎撃態勢を整えつつある。スピーディーな配達競争が激化する中、ユーザー体験を重視した戦略が勝敗を左右することになりそうだ。
「即時小売」市場が熱い
注文すれば極めて短い時間で商品が配送される即時小売(クイック・コマース)市場が急成長を続けている。2022年には市場規模が5000億元を超え、2025年にはその3倍になると予測される。2024年第2四半期の業績レポートによれば、京東(J.D.com)が提供する「京東秒送」のユーザー数と注文量は前年同期比で100%以上増加し、常用ユーザーは110%以上の成長を遂げた。
即時小売には大別して3タイプのプレイヤーが存在する。前置倉庫(住宅エリアの近くに設置された小型の配送用生鮮倉庫)や店舗倉庫一体型モデルで市場参入する「フーマー(盒馬)」「ディン・ドン(叮咚)」等に対して、前述の「京東秒送」や「美団閃購」、「淘宝小時達」「抖音小時達」等はプラットフォーム型と呼ばれるタイプだ。このほか、実店舗がサードパーティの即時配送能力を活用する「サムズクラブ」のような例もある。
京東が「秒速配達」で攻勢
即時小売市場で最も多くのシェアを占めているのが「プラットフォーム型」であり、「美団」1社だけでシェアは4割に達するとされる。京東の躍進も目覚ましく、生鮮食品、コーヒー、薬品の配送に重点を置いて展開する。「京東秒送」では、瑞幸(ラッキンコーヒー)、庫迪(Cochi)、挪瓦(ノア)といったコーヒーチェーンのデリバリーが利用できる。
スピーディーな配達を保証し、料金は配達料免除の9.9元に抑制。それでもコーヒーは消費頻度が高いため、上海などでは特に最重点アイテムと位置づけた展開が見られる。7月には配送が10分以上遅れると自動的に無制限クーポンをユーザーに提供する「時間保証サービス」まで提供された。ユーザー体験の向上を図りながら、京東は今後、レストランとの連携も拡大していくと見られている。
抖音も全国展開を開始
ショート動画プラットフォームの「抖音(Douyin)」が展開する「抖音小時達」の展開にも注目が集まる。同サービスは2022年10月にテストを開始し、当初は主要31都市のみに限定していたサービス提供エリアを9月24日に全国へと広げるに至った。
抖音は独自の配送インフラを持たない。したがって、配送には順豊(SFエクスプレス)、達達、閃送など第三者物流に依存しているが、5キロ以内の配送費を3.5元に抑え、美団より40%も安くするなど大胆な施策を講じる。生鮮品や消耗品などの領域でライバル(アリババ、美団、京東)から市場シェアを奪取しようと意欲満々だ。
美団がアリペイに乗り入れ
京東や抖音に対する迎撃体制の一環なのかは確言できないが、美団のフードデリバリー「美団外売」やホテル予約サービス「美団酒店」のミニプログラムがアリペイに登場したことは注目に値する。
競合関係にある「ウーラマ(饿了么)」と「美団」がアリペイのミニプログラムを展開するのは「呉越同舟」さえ思わせるが、タオバオでWeixin Payや京東物流の利用が可能になるなど、各プラットフォーム間での連携が目立ってきた。ユーザーがより高品質で多様なサービスを享受するうえで歓迎すべき動きだといえよう。(編集:耕雲)
参考