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2024-11-14

「青春18きっぷ」のルール改定に鉄道ファン動揺、自由な旅の未来は?

交通鉄道


「青春18きっぷ」のルール改定が今冬に行われることが明らかになり、日本の鉄道ファンの間で衝撃が広がっている。自由な鉄道旅の象徴として愛されてきたきっぷの価値が損なわれるとして、従来の制度の復活を求める署名活動も展開されている。


青春18きっぷのルール改定で波紋

「リーズナブルな自由旅」の象徴と目され、日本の鉄道文化に深く根付いてきた「青春18きっぷ」が、2024年冬に新ルールで運用されることが発表された。5回分(12,050円)を任意の日に分けて利用が可能だった従来の仕組みが廃止され、日付を連続した使用しかできなくなる。さらに複数人でのシェアも不可能になっている。新たに3日間用(10,000円)のタイプも登場したが、1日あたりのコストが割高になり、ネット上では「改定ではなく改悪」「利用者が減るだけ」と批判が続出している。

こうした中、JR各社に対して青春18きっぷのサービス体系を元のスタイルに戻すことを求めようとする機運が高まり、署名運動も始まった。発起人の要望書に賛同したネットユーザーは11月14日現在、3万人を超えている。自由で気ままな旅を守りたいという鉄道ファンは多い。


オンライン署名サイト「change.org」における「青春18きっぷ」のルール変更に反対する署名活動


国鉄時代の旅はもっとお得!?

青春18きっぷの誕生は1982年。当時は国鉄が運営しており、5枚綴り1万円という料金設定も分かりやすかった。消費税もなく、1枚ずつ切り離して友人や家族とシェアできるのも重宝した。国土交通省がホームページで公開している統計によると、1982年に国鉄が運営していた在来線の総営業距離は約2万1000キロ。2021年現在JR6社が運営する1万6,700キロより約4000キロも長い。

さらに国鉄時代は青函連絡船や宇高連絡船も運行されていた。1日あたりたった2000円で船旅も含めた長距離移動ができたわけだから、青春18きっぷで可能な旅行の選択肢は今よりずっと豊富だったと想像される。それだけに、分割民営化に伴う廃線ラッシュ、消費税導入、さらに1996年にはきっぷ券が1枚に統合されてしまった(金券ショップへの転売対策といわれる)のは価値の目減りという印象を持たざるを得ない。

青春18きっぷの新ルールに関する通知:JRおでかけネット


ジャパン・レール・パスは“進化”?

一方、訪日外国人向けの「ジャパン・レール・パス」は、新幹線の路線延長や開業を受け、きっぷの価値を高めてきたといえそうだ。青春18きっぷと同じ1982年に販売が開始されて以来、史上最大とも言える値上げが2023年秋に行われたが、ドルで換算すれば以前の料金水準のほうが“安すぎた”という指摘すらある。むしろ追加料金で「のぞみ」の利用ができるようになるなど、利便性は向上している。

ただし、2017年からは海外在住の日本人が利用する場合、ハードルが高くなった。申請資格を有するには10年以上同一国に在住している証明が必要になったからだ。出入国の度に臨時宿泊登記(境外人員臨時住宿登記)を必要とする中国在住の日本人にとっては(たとえ資格を満たしていても)手続きは煩雑だ。外国人の配偶者を持つ日本人であれば一時帰国時にレール・パスで家族と周遊プランを組みたいと思うだろうが、利用資格を備えた人は少数に限られるだろう。


次世代に伝えたい旅の魅力

ジャパン・レール・パスについての話題は蛇足だったかも知れないが、今世紀に入って以降、新幹線の延線や開業、のぞみ増発などが続くかたわら、コストを抑えた長距離移動の選択肢が減り、気ままにローカル線の旅を楽しむ選択肢も縮小している印象を受ける。寝台特急が次々と廃止になっていったほか、三江線が廃線になったのも記憶に新しい。(青春18きっぷが使えたムーンライトながら号も2021年に廃止となった。)


思い立ったらすぐに列車に飛び乗り、知らない街に降り立つ自由な旅を可能にしてきた青春18きっぷ。その名称が放つイメージとは異なり、世代を超えて愛されてきたロングセラー商品でもある。でき得れば署名活動の発起者が求めるように、青春18きっぷが従来の制度のもと、再び自由な鉄道の旅のスタイルを提供するものとなればと願うばかりだ。(編集:耕雲)

【コラム】

オーストリア出身の哲学者イヴァン・イリイチは著書『エネルギーと公平』(1974年)で、自転車を持続可能な社会の構築に資する交通手段と位置づけた。しかし、この“理想的な”交通手段も、公共の秩序を乱すことがある。

そんな問題提起の象徴ともいえるのが、先週、河南省鄭州市で行われた“ナイトライド”イベントだ。事の発端は、今年6月に鄭州市の女子大学生4人が開封市の名物、灌湯包(スープ入り肉まん)を食べるために夜間に約50キロをシェアサイクルで走破し、SNSで脚光を浴びたことに始まる。その後、ナイトライドは社会現象に発展し、11月8日には参加者が数万人規模に膨れ上がった。

中国ではシェアサイクルが都市部で重要な交通手段として定着し、“最後の1マイル”をカバーする利便性が支持されている。しかし、破天荒にも夜間に都市間を移動する用途に使われ、しかも大規模な集団移動に発展したことが社会に波紋を投じることとなった。

交通渋滞をはじめとする混乱を受け、シェアリング自転車大手3社(美団、ハロー、青桔)は、市域を超えた利用を禁止し、エリア外に出ると車両に強制ロックがかかる仕組みを導入するなど対策を講じた。ナイトライドに対して多様な規制が導入されている。

ナイトライドに見る、少ない予算で冒険的な体験をしたいという若者たちの欲求は、「青春18きっぷ」愛好者の価値観と共鳴する部分がある。しかし、中国のネットで公共の秩序や安全の確保を巡る議論が行われているのと比べれば、「青春18きっぷ」のルール改正(“改悪”)は、所詮JRグループの収支バランスの都合による問題に過ぎないとの批判は免れないかもしれない。(編集:耕雲)


 参考 

  • オンライン署名 · JR旅客6社に対し、「青春18きっぷ」を従来の制度に戻すよう要望します。- 日本 · Change.org
  • 青春18きっぷ「改悪」で「JR旅客6社」Xでトレンド入り 任意5日間利用に戻して…署名活動も勢い増す(鉄道乗蔵) - エキスパート - Yahoo!ニュース
  • 最大77%の値上げ!「JRパス」の価格が10月に改訂へ


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