バタークッキーの2大ブランド、“王座”争奪戦の行方は?日中で異なる『推し』の構図
デンマークのバタークッキーといえば、多くの人が思い浮かべるのは青い丸缶に詰められた贈答用のものだろうか。中国ではこのほど「ケルドセン」と「ダニサ」の2大ブランドの法廷闘争に一応の終止符が打たれることとなった。
デンマークのシンボル
バタークッキーといえば、多くの人が思い浮かべるのは、青い丸缶に詰められた贈答用のバタークッキーだ。年末の贈り物としても手頃で人気だが、中国市場では「ケルドセン」と「ダニサ」という2大ブランドがしのぎを削っている。
ケルドセンは、フェレロの関連会社であるファイン・ビスケット・カンパニーS.A.の一部門であるケルセングループが展開し、他にも傘下に『ロイヤルダンスク』を有する。一方のダニサはDanish Speciality Foods Copenhagen Denmark ApS.(DSF)が展開するブランドで、日本では『ダニサバ』と呼ばれ親しまれている。

ダニサが勝訴
10月18日、ケルドセンは公式サイトとWeiboで公開謝罪を発表した。ダニサとの間で争っていた不正競争紛争をめぐる裁判で北京市海淀区人民法院が下した判決に従ったものである。同法院は、ケルドセンの虚偽宣伝と商業的中傷を認定し、55万元(約1,100万円)の賠償と公開謝罪を命じたわけだ。
判決では、ケルドセン側による『唯一のデンマーク王室御用達ブランド』との宣伝が、消費者を誤解させる虚偽広告と判断された。また、商業的中傷と認定されたのは、Weixin(微信、WeChat)上で「ダニサが類似したパッケージを使用して消費者を欺いている」と示唆した内容を配信したことだった。
11月19日現在、ケルドセンのWeiboの投稿は非公開となっている。
9年にわたる訴訟合戦
実は、ケルドセンとダニサは9年以上にわたって商標権や不正競争行為を巡る法廷闘争を繰り広げてきた。2015年、ケルドセン側は、ダニサの中国市場における販売戦略や広告表現が自社の商標権を侵害し、不正競争行為に該当するとして訴訟を起こしている。
このとき、北京市石景山区人民法院は、ダニサ製品のパッケージがケルドセンの意匠権を侵害してはいないとした一方、実際の原産地がインドネシアであるのにも関わらず、デンマーク産を標榜したのは虚偽広告に該当すると認定ている。ダニサに命じられた損害賠償額は200万元(約4,000万円)だったという。

ダニサバタークッキーのラベル表示。原産国はインドネシアとなっている
しかし、その後、近年の形勢を見るとダニサの高級感を前面に出したマーケティング戦略が奏功し、法廷での争いもダニサに有利に進んだと言えそうだ。今回の判決が下る直前の9月13日には、在中国デンマーク大使館がWeixin公式アカウントでダニサがアンデルセン博物館とのコラボ製品を中秋節に販売することを伝えていた。
日本ではケルドセン優勢?
もっとも、ダニサの快進撃の前にケルドセンが劣勢に立たされ続けているというわけではない。日本のデンマーク大使館の公式サイトでは、デンマーククッキーの伝統ブランドを担うメーカーとしてケルドセンブランドを有するケルセングループが紹介されている。同ブランドが1933年以来の歴史を有することや、2009年に「王室御用達」のお墨付きを受けたことについての言及もある。
デンマークの伝統レシピを基盤としながらも、主な生産地がインドネシアであるダニサに対し、ケルドセンのブランドストーリーはより魅力的なものとデンマーク日本大使館が判断たのかどうかは定かでない。しかし、11月2日と3日に東京・代官山で開催された「猿楽祭」では、デンマークグルメの一角をケルドセンのクッキーが担い、その存在感を示したとされる。
このように、中国と日本の在外公館で「推し」が異なるデンマークのバタークッキー事情。市場シェアに関する公表データはなく、いずれのブランドが優勢かは明言できない。ただ、デンマークの象徴を巡る争いはそう簡単に収束するものではなさそうだ。(編集:耕雲)
参考
Kjeldsens wins unfair competition case against ‘Danisa Butter Cookies’