不思議な会社「パントンライ」、地域密着で急成長、今年の注目トピック
河南省許昌市発の急成長企業であるパントンライ商贸集团(胖東来)。小売業冬の時代にあっても地域密着型経営と顧客第一主義で快進撃を続ける。透明な商品戦略や奇抜な福利厚生など、その一挙手一投足に熱い視線が注がれている。同社にまつわるトピックを集めてみた。
地域密着で躍進続ける
パントンライの創始者である董事長・于東来(ユ・ドンライ)氏がDouyin(中国版TikTok)アカウントを通じて行った発表によると、河南省許昌市と新郷市の2都市で運営する15店舗の売上高累計が11月26日までに146億3800万元(約3,000億円)に達したという。うち最も売上高が多かったのは時代広場店の38億6900万元(訳788億円)。
同社が本部を置く許昌市は「四線都市」という位置づけであるにも関わらず、パンドンライの知名度は中国全土を轟かしている。グループ傘下の店舗の多くが定休日(毎週火曜)を設けているにも関わらず、1店舗あたりの売上高は高い。顧客への徹底したサービスと高い商品品質を追求する同社の店舗はまさに“観光スポット”としても注目され、域外からの視察が絶えないといわれる。
◉单店每天卖出344万元!胖东来本年度销售额已达146.38亿元_北京商报
日系スーパーに薫陶?接客力のすごさ
パントンライの急成長の背景には、独自ブランド「DL」の展開がある。食品や日用品を取り扱い、いずれも品質の確保を最重視し、誠実なサービスを通じて顧客と感情的なつながりを築く。また、胖東来ではトイレにトイレットペーパーを設置し、飲料水を無料で提供し、自由に利用可能な休憩スペースを用意する。同業他社の多くはまだ追随ができていない。
顧客に対して透明性を提供するために、商品の原価を公開したのも衝撃的だった。販売価格は高いが、品質が優れており、消費者はそれを十分に理解して同社に信頼を寄せる。接客理念はイトーヨーカドーの手法にならったとも言われ、「三米微笑(3メートルの微笑み)」や「五米礼儀(五メートルの礼儀)」を店舗運営に反映させているという。それが顧客満足度を高め、競争力を維持していくうえで有効に働いたとする評価は少なくない。
◉特稿丨新华社关注“胖东来”!自有农食品牌如何跨界出圈?
業界冬の時代に希望の光
今年5月、業績不振に悩むスーパーマーケット大手「永輝超市(ヨンフイスーパー)」が経営改善を求めてパントンライに支援を仰いだことが注目を浴びた。パントンライは、商品の構成やサービス改善を行い、一部店舗で売上増加を達成するなどの成果を挙げた。
しかし、9月に永輝超市が名創優品(メイソー)に株式の29.4%を売却したことを受け、パンドンライによる支援は一旦停止することとなった。それでもパントンライが一時でも業界の「救世主」として注目されたことで、同社の名声は国外にも知れ渡ることとなった。
◉員工薪水加2000 胖東來「爆改」永輝超市連股價也跳升 | 神州生活圈 | 中國 | 世界新聞網
◉中國零售名牌名創優品砸錢獲永輝29.4%股權 打造超市巨人 | 中港台經濟 | 財經 | 世界新聞網
危機に神対応、手厚い賠償も
パントンライは、危機管理にも優れた対応を見せた。6月に衛生問題を指摘された「麺皮(めんぴ)」事件では迅速に対応し、顧客への損害賠償も実施。速やかな調査と透明な対応により、顧客からの信頼をさらに強化することができた。
また、社内では福利厚生制度に力を入れ、2024年には「不機嫌休暇(アンハッピー休暇)」という新たな制度を導入した。従業員が気分の乗らないときに最大10日間の休暇を取れる仕組みを作り、社員への権利保護と補償措置を重視した企業文化を築いている。
◉热搜!胖东来:补偿买擀面皮顾客883.3万元_澎湃号·媒体_澎湃新闻-The Paper
未来志向の福利厚生
従業員に対して結婚式の過剰な費用を避ける方針ーー経済的負担の軽減と社会的価値観の推進ーーを打ち出したことも内外に衝撃を与えた。従業員の結婚式では宴席を最大5テーブルに制限するという新しいルールが掲げられている。この決定は福利厚生の一環であり、従業員同士の公平性を促進し、企業文化を一層強化する狙いがあると見られている。
中国全体で結婚離れや少子化が進む中、従来の豪華な結婚式とは異なり、マクドナルドを会場に「消費の簡素化」が見られるのが昨今のトレンドだ。若者のカップルの中には、結婚式についてはカジュアルで個性的ながらも出費を抑え、余剰資金を旅行や新居の改善に充てる例が増えているとされる。従来の家庭や社会の伝統に縛られない若者の価値観が注目されるなか、パントンライの新方針が社会に一石を投げかける。
◉于东来:明年起胖东来员工结婚不允许彩礼,酒席不能超五桌_腾讯新闻
不正偽装行為の被害で緊急声明
同社に集まる熱視線を利用して漁夫の利を得ようとする不正者も現れた。パントンライは11月24日、声明を発し、第三者が無断でAI技術を使用して于東来氏の声を生成し、動画コンテンツを改竄していることを明らかにした。
むろん著作権や人格権を侵害する不正行為であり、誤解を回避しようとパンドンライは顧客に注意を呼びかけている。同社がオンラインショッピングチャネルとして公式に運営しているのは公式Weixinn(微信)アカウントと専門ショップの2つであり、不正なライブ販売は行っていないことも強調した。
新たな挑戦、「自由之城」に注目
パントンライが未来を見据えたプロジェクトとして掲げているのが「自由之城(フリーダムシティ)」という大規模商業プロジェクトで、許昌市の京港澳高速道路インターに隣接する場所に総面積約42万平方メートルの商業施設の建築を計画している。投資額は約40億元(約800億円)にのぼり、映画館など多様な業態が集結する複合施設を構想している。
于氏は11月17日にライブ配信を通じて、その計画の青写真を明らかにしている。現在手元資金は20億元といわれるものの、銀行貸付に頼らずない資金調達する計画だという。着工時期は2025年中を見込んでおり、地域社会への貢献を視野に入れた新たなプロジェクトとして脚光が集まる。大まかな着工時期のアナウンスはまだないが、プロジェクトの進展に大きな期待が寄せられている。(編集:耕雲)