日本のパスポート、世界単独2位でも国内では“宝の持ち腐れ”、“効力”も低下中?
2025年版「ヘンリーパスポートインデックス」が発表された。日本のパスポートの順位はシンガポールに次いで単独2位と“値千銀”の地位にある。しかし、パスポート保有率は低迷し、世界2位の価値を活用している日本人は少数派だ。身分証明としての効力も日本国内では弱くなっている。
日本パスポート、“最強”逃すも単独2位
このほど発表された「ヘンリーパスポートインデックス2025」によると、シンガポールに次ぎ、日本のパスポートが単独2位にランクインした。ビザなしで渡航可能な国数は193か国(シンガポールは195か国)。“世界最強”の座はシンガポールが単独で就いた。
日本の順位は下降したものの、フランス、ドイツ、イタリア、スペインと並んでいた1年前から頭ひとつ抜け出している。中国が2024年11月末に日本を含む9か国に短期ビザ免除措置を導入したことも、全体の順位に影響を与えている。
低迷するパスポート保有率
世界的に高評価を受ける日本のパスポートだが、その恩恵を享受する日本人は限られている。日本人のパスポート保有率は2019年の23.8%から2023年には17.0%に低下。およそ6人に1人しか所持しておらず、英国の約77%、カナダの約70%といった主要先進国と比較して著しく低い。
背景には、国内旅行が充実しているため海外旅行に対する需要が相対的に低いことや、経済的な負担(渡航費用の上昇)、国内での取得奨励策の欠如が挙げられてきた。2019年に約2008万人だった出国者数は2023年には約962万人に減少し、新型コロナウイルスの影響から解き放たれても円安等が逆風となっている。
失われていく身分証明の効力
日本旅行業協会(JATA)が新成人(18歳)へのパスポートの無料配布を政府に提案したとするメディア報道があったが(沖縄タイムズサイト2024年9月15日報道「新成人に旅券『無料配布を』旅行業協会が要請へ」)、無料で提供したところで海外渡航することなく“宝の持ち腐れ”となる可能性も想定しなければならないだろう。
さらに言えば、日本パスポートの身分証としての効力が弱くなっている。これにはマイナンバーカードの普及促進の動きや、パスポートの住所欄が廃止されたことも関係している。メインバンクのホームページでも、銀行口座を開設する際の身分証明として2020年2月3日以降に発行されたパスポートは使えないとする記載が確認できる。
図:三井住友銀行のウェブサイトから
保有率上昇のための別アプローチ
日本のパスポートが極めて“無力”であることを痛感させられる事象は他にもある。たとえば、ジャパンレールパスの利用資格だ。同パスは、旅行ビザで訪日する外国人向けにJRグループが提供するサービスであるが、要件を満たした海外在住の日本人にも利用資格がある。
しかし、「同一地域に10年以上の居住」の証明が前提となっており、以前と比べて手続きが煩雑になっている。そもそもパスポートの有効期間自体が最長10年であるため、申請書類の取得ハードルはかなり高い。
JRグループ、引いては国土交通省には日本人が原則的に利用できないサービスを増やすのではなく、むしろ日本国パスポートを取得した者が享受できるサービス(例えばジャパンレールパスに準ずる周遊券の販売)を設置していただきたいところだ。
パスポートの保有メリットがあれば、渡航計画が当面なくても取得に意欲を示す日本人は増えることだろう。保有率の上昇、ひいては鉄道サービスの需要増加にもつながるはずだ。日本パスポートの“価値”をもっと体感したいという勝手な想いを綴らせていただき、本稿を締めくくりたいと思う。(編集:耕雲)
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