中国のヤクルト愛飲者が抱く素朴な疑問、『養楽多』と『益力多』はどう違う?
ヤクルトの上海工場が昨年12月6日に生産を停止した。これまで同工場が担ってきた機能は他工場に移転されている。激化する中国の"腸道健康"市場において「養楽多」と「益力多」が今後どんな価値を創造していくのかが注目される。今年はヤクルト創業90周年。“つばめ”のようなしなやかな飛翔が中国で見られることに期待したい。
上海工場が閉鎖、生産を移転
ヤクルトは2024年12月6日に上海工場(上海益力多)の解散手続きを進めると発表した。この決定は、生産拠点を天津と無錫に集約し、効率的な運営と事業拡大を目指す戦略の一環とされている。2025年1月現在、上海のスーパー等の売り場からはすでに上海工場で生産された製品は消え、近隣の無錫工場で生産された「養楽多」シリーズに置き換わっている。
ヤクルト本社ホームページ「ニュースリリース一覧」から
「益力多」と「養楽多」
ヤクルトは中国で「益力多(Yik Lik Do、イエッレッドー)」と「養楽多(Yǎnglèduō、ヤンラードゥオー)」の2つの名称を使い分けている。広東語圏(広東省、海南島)では「益力多」を、それ以外の普通話(標準中国語)が話される地域では「養楽多」を使う。消費者の認知度や親しみやすさを重視した戦略で、これらの名称が市場にしっかりと浸透している。一方で、特徴的な容器の形状や製品コンセプトを模倣した類似製品が幾度となく登場し、ニセモノ対策には多大なリソースを割いてきたことが容易に想像できる。
益力多(左)と養楽多
中国進出当初の商標紛争
(左)上海で昨年6月に催されたジャパンブランド展で新製品ピーチ味をアピール (右)中国で販売されている商品ラインナップ
中国語の球団名は複雑
ヤクルトの類似製品は次から次へと登場してくる。2017年に「益菌多」という名称の模倣製品を裁判で退けたことで、「養楽多」と「益力多」を両翼としたブランド展開の基盤はより強固になったかに見える。それでも両者がともにヤクルトであると認識していない消費者はいまだに存在する。
日本人にとってヤクルトといえばプロ野球団を思い浮かべる人も多いだろう。東京ヤクルトスワローズは中国語で「東京養楽多燕子隊」と表記され、「東京益力多燕子隊」とは呼ばれない。広東圏の野球ファンからすると、「東京益力多燕子隊」という呼称でないのは不本意かもしれない。
創業90周年、飛翔の両翼は?
2025年はヤクルトにとって創業90年の節目に当たる。「9」という数字は重陽節(旧暦9月9日)に象徴されるように、中国では長寿と健康を表す数字であり、腸活ブームを牽引するヤクルトにとって追い風にもなる。
コーヒーを始めとする消費市場で見られるような「9.9元」キャンペーンを期待するのは現実的ではないが、それでも「9」という数字は2025年におけるヤクルトの事業展開にとって重要な意味を持つキーナンバーとなりそうだ。球団マスコット「つば九郎」にも導かれながら、中国でも新たに飛翔する姿を見せてほしい。(編集:耕雲)
