春節前後の感染症対策強化、入国管理への影響と国境衛生検疫法
中国国務院共同防疫機関は16日、春節(旧正月)前後におけるコロナウイルス感染症やインフルエンザなど伝染病に対する防疫策の強化を求める通知を発した。人の移動が増え各種伝染病の感染リスクが高まる中、防疫体制の強化が求められている。
春節期間中の感染症拡大防止へ
中国国務院共同防疫機関は16日、「2025年春節前後におけるコロナウイルス感染症等、重点伝染病の予防管理に関する通知」を発した。春節(旧正月)期間は中国で最も人々の移動が活発な時期に当たることから、地域間における防疫強化を指示し、インフルエンザやコロナ、マイコプラズマ、ヒトメタニューモ等のウイルスに起因する呼吸器感染症の流行への対処と連携強化を求めている。
通知では、入国者の検疫強化や感染症監視体制の充実を重要な課題として掲げているほか、高齢者や児童に向けたワクチン接種等の予防措置や健康モニタリングといった医療支援体制の強化が急務だとしている。交通運輸業の従事者や旅行者には個人防護の徹底を求め、マスク着用を促す。また、インフルエンザの抗ウイルス薬、解熱剤、せき止め薬などの一般的な薬品の市場投入と備蓄の重要性や、児童向け薬品の安定した供給体制の確保についても言及している。
|
「国境衛生検疫法」が施行
上記「通知」で第一に掲げられた入国者の検疫についてガイドラインとなるのが、2025年1月1日から施行されている改正「中華人民共和国国境衛生検疫法」だ。同法は感染症の拡散防止を目的として2024年6月28日に公布された。検疫、監視、衛生指導、緊急対応などに関する規定を網羅しており、税関や検疫機関が担う役割が明確化されている。さらに、同法にもとづいて検疫および監視対象として扱う感染症リストも示された。
なお、中国政府の公式サイトに掲載された解説では、検疫および監視対象となる感染症の種類を調整することによって新たな検疫措置が追加されることはないと明確に規定されている。体温の監視や医学検査などの非侵襲的な措置を除き、疫学調査などでより踏み込んだ措置は、異常を示した極めて少数の人々に対してのみ行われる。すべての出入国者に対して検査が行われるわけではない。
本日1月20日は「大寒」。感染リスクが高まる気候がしばらく続く
検疫と監視対象となる感染症
検疫および監視対象となる感染症としてリストアップされたものには、すでに集団感染が確認され注意喚起が行われているものもある。ただし、隔離措置が必要となる「検疫伝染病目録」に対して、「監視伝染病目録」は、中国国内における症例を迅速に察知して制御することが目的となっている。
なお、当該のリストには含まれていないが、江蘇省と広東省で感染症例が報告された「Q熱(*1)」の動向も懸念材料となっている。家畜や動物からの感染リスクが指摘されており、予防のためには動物の管理や食品検査の強化が求められている。(編集:耕雲)
ペスト、コレラ、黄熱病、エボラウイルス病、天然痘、ポリオ(脊髄灰質炎)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、肺炭疽、マールブルグウイルス病、ラッサ熱、中東呼吸器症候群(MERS) 新型コロナウイルス感染症、エイズ(HIV感染症(*2))、新型インフルエンザ感染症、麻疹、流行性出血熱、日本脳炎、デング熱、エムポックス(*3)、細菌性およびアメーバ性赤痢、肺結核、腸チフスおよびパラチフス、流行性髄膜炎、百日咳、ジフテリア、マラリア、インフルエンザ、ノロウイルス(*4)による急性胃腸炎、腸管出血性大腸菌感染による下痢、副溶血性ビブリオ菌感染による下痢、ニパウイルス病、西ナイル熱、ジカウイルス病、チクングニア熱、オロプチェウイルス病、リフトバレー熱、クリミア・コンゴ出血熱 (*1)Q熱はベネッタ・コクシエラ細菌による人獣共通感染症で、発熱、咳嗽、筋肉痛などが見られる。家畜や動物からの感染が主で、極めて稀に人から人への感染もある。 |
参考
China Releases Lists of Diseases for Border Quarantine Measures
检疫传染病和监测传染病目录解读问答_政策解读_中国政府网
新修订的国境卫生检疫法自2025年元旦起施行__中国政府网