高級アイスクリーム市場の失速で「茅台」が撤退、“価格破壊”も
高級白酒「茅台(マオタイ)酒」の製造・販売を行う茅台グループは、2022年に若年層市場の開拓を目指してアイスクリーム事業に着手したが、このほど全面撤退が既定路線となったことが明らかになった。価格の高さと競争の激化が影響したとされ、新たな若年層向け戦略の行方が注目される。
茅台の旗艦店が閉店
茅台グループがアイスクリーム事業からの撤退を決定したことが、澎湃新聞1月10日付報道で伝えられた。かの名高き高級白酒「茅台酒」を手掛ける同社は、2022年5月に突如としてアイスクリーム市場に参入した。しかし、若者層に向けた訴求力を持続的に発揮することはできなかった。
同社の「i茅台」アプリでは、アイスクリーム関連商品の在庫切れが示され、上海、無錫、貴陽、重慶に広がった旗艦店も次々に店じまいをした。茅台は全国113都市、34店舗の旗艦店を立ち上げたが、消費者の関心は薄れ、売上はひっそりと低迷していた。

高級アイスクリーム市場の苦境
その背景にあるのは、茅台の戦略だけの問題ではない。じつは高級アイスクリーム市場全般が冷え切った状況にあった。茅台のアイスクリームは、59元から66元という価格帯で販売されていたが、最近では割引セールが頻繁に行われていたという。こうした中で経営陣が2024年4月に交代し、企業資源の最適化とブランド価値の維持を目指した方向転換が図られることになった。

「刺客アイス」の突然の価格崩壊
茅台の撤退は、高級アイスクリーム市場の失速を示す一事例に過ぎない。数年前までは、いわゆる「雪糕刺客(シュエガオツーク)」(アイスクリームの刺客。外見からは想像できないプレミアム価格が提示されるアイスクリーム製品のこと)の存在が社会現象となっており、その代表格とされた「鐘薛高(ジョンシュエカオ)」ブランドに特に注目が集まった。それがいまや雪崩を打つように価格は下落し、10元以下で販売されている。茅台もこうした市場の変化を受けて、若年層向け戦略の方向を転換せざるを得なかったといえるだろう。
若者向け戦略の見直しへ
若者は真新しさと独自性を求める傾向があり、茅台の「白酒+アイスクリーム」の意外な組み合わせは当初はポジティブに働いたとされる。しかし、そんなオリジナリティーが持続的な訴求力となることはなかった。一過性のブームに終わった背景には、消費者の価格に対する敏感さや価値観の変化があるとされる。
茅台は、ラッキンコーヒーやドーフとのコラボ商品で一応の成功を収めたかに見えるが、その後の周辺商品の開発は停止すると発表している。同社は再び若年層市場に向けた新たな方向性を模索し始めた。どんな形で若者たちの心をつかもうとしているのか、新たな挑戦に注目したい。(編集:耕雲)
参考
茅台主动收缩冰淇淋业务:多地门店已经关闭,存货卖完后不再进货|澎湃新闻