中国都市の“人口争奪戦”、『選ばれる都市』と『選ばれぬ都市』

中国の2024年末時点における常住人口データによれば、深圳市、広州市の人口が増加したのに対して、上海市、北京市、重慶市では人口が減少し、天津市は横ばいだった。経済成長を牽引してきた人口ボーナスの終焉とともに、あたかも都市を挙げた“人口争奪戦”のような様相を示している。
止まらぬ中国の人口減少
中国の人口は3年連続で減少しており、2021年の14億1200万人から2024年の14億800万人に減った(国家統計局データより)。新生児数は954万人、死亡者数は1,093万人となっており、前年比で約139万人減少した計算になる。国家統計局の推計では、2025年末には総人口が14億人を下回る可能性が高いとされている。

人口を引き寄せる都市の条件
こうした中、深圳の2024年の常住人口が1798万9500人となり、前年から19万9,400人の純増を記録した。次いで広州が15万1,000人の増加。これに合肥、長沙、南昌、杭州などを加え、10万人以上の人口純増を記録した都市が6都市ある。
深圳の人口の年齢構成は15歳から59歳の生産年齢人口が全体の79.53%を占め、平均年齢はわずか32.5歳。若い労働力と新興産業の集積が好循環を生み出している。広東省全体としても、全国的に際立った人口増加を記録しており、引き続き「人口磁石」としての地位を確立しつつある。

上海の失速、「選ばれない都市」に!?
一方、“国際都市モデル”の象徴ともいえる上海は、2024年に人口減少という厳しい現実に直面した。常住人口は前年比で7万1,900人の減少。直轄市の中で減少幅が最大となった。 北京も同様に2万6,000人の人口減となり、重慶は9,600人減少した。天津についてはほぼ前年と同水準で横ばいだった。
こうした直轄市における人口停滞・減少は、生活コストや就業機会の格差、都市疲弊といった構造的課題が背景にあると考えられている。

在中邦人も減少、10万人を割る
中国全土31省のうち、常住人口が前年から増加したのはわずか7省にとどまった。経済・雇用・教育など多様な要素が人口動態に影響を与えており、とりわけ若年層の流入が鍵を握っていることがわかる。
なお、当公式アカウントでも取り上げたが、中国で生活する日本人の数も減少傾向が続いている。2024年10月1日時点での在留邦人数は9万7,538人となり、前年から4.2%の減少。10万人を下回ったのは2005年以来初めてとなる。

将来のシナリオと“適正人口”の議論
一部の学術研究では、最終的な人口はおよそ6億人前後で安定するとの見解があるほか、2100年までに約4.6億人にまで落ち込むとする予測もある。中国の国土・資源・経済規模との均衡を考慮したうえでの“適正人口”について議論が続けられている。
中国はすでに労働人口のピークは過ぎており、日本と同様に社会保障制度や都市の統廃合、農村人口の再配置、教育・医療の再設計といった大規模な社会的変革の必要性に迫られているとされる。(編集:耕雲)
参考
