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2025-04-08

退職・別れ・墓参りも“餅は餅屋”に? 日中で広がる“代行業”の新常態

日中ビジネス



「会社に行かずに辞めたい」「墓地に足を運ぶことなく故人の供養をしたい」──そんな願いを代行してくれる“職業人”たちが、Z世代を中心に日中双方で支持を受けている。“誰かに任せる”ことで人間関係の摩擦を避けつつ、適度な距離感と安心を確保したい、そんなニーズが今後も高まっていきそうだ。



代行業に「感情委託型サービス」

「餅は餅屋」とはいうものの、かつて「自分でやるべき」とされてきた仕事の区切りや人間関係の節目が、いま、次々と“代行”される時代に突入している。


退職を告げる、恋人と別れる、家族の墓を弔う──それら一つひとつを他人から委ねられる代行職業は、単なる「便利屋」とは異なる。“感情”の処理や“儀式”の演出までをも含めた、いわば「感情委託型サービス」といった趣を示しているところに特徴がある。






進む“代行業”の多様化

日本では近年、「退職代行」サービスが脚光を浴びるようになった。依頼者に代わって会社に退職の意思を伝え、必要な手続きについても一部請け負う。ブラック企業問題や若者のメンタルヘルスを背景に拡大してきた背景がある。


このほか、結婚式の友人スピーチを演じる「友人代行」、恋人との破局を代行する「別れさせ屋」、さらにはLINEでの「愚痴聞き」などのサービスも広く普及している。これらは「対人ストレスの回避」というニーズに応えるものであり、“建前”社会で生じる摩擦を最小化することを志向している。


退職代行モームリのサービス広告




中国で台頭する「儀式」代行

一方、中国では、清明節シーズンが過ぎたばかりだが、「职业代祭扫(職業墓参り代行)」のように「儀礼の代行」ニーズに応えたものが急成長しているという。家族の墓参りを動画で代行するサービスであり、読経や供物、手紙代筆まで網羅するものだ。


都市化・高齢化・遠距離社会といった構造的背景に加え、「情绪价值(感情的価値)」への認識が高まっている。利用者の心の健康を守るための“自己防衛”として支持する声も根強く、「可視化された誠意」が求められる時代となった。





“代行”は甘えか、共感の進化か

もちろん、このような代行サービスが広がることには賛否両論がある。たとえば退職代行では、法的交渉(例:残業代請求など)を行う場合は弁護士資格が必要となるため、「非弁行為(弁護士資格のない者による法律行為)」のグレーゾーンに抵触することもある。


また、中国の墓参り代行サービスでは、「形式だけでは意味がない」「誠意は本人の行動によってこそ示される」といった批判がある。合理性や効率、あるいは「共感の代行」という新たな発想を肯定的に捉える意見もあれば、社会コミュニケーションが“代行”によって完結する社会に異議を唱える声もある。





“代行社会”が問いかける未来

代行サービスを「冷めた」対応と見るか「賢い」選択と見るかは、世代によっても見解が分かれることだろう。中国では「職業閉店人」のように看過できない消費トラブルの渦中に置かれた代行業の存在に注目が集まる。


とはいえ、代行業の存在基盤は、サービスの提供者と利用者との間の「信頼」から成り立つ。“タイパ”重視のZ世代はいま、時間と気力を“本当に大切なもの”に集中させるために、感情の処理すらプロに任せはじめている。そこには"心のシェアリングエコノミー”とも呼べる新たな価値観が芽吹いている。(編集:耕雲)



🔗中国で“閉店ラッシュ”が加速、暗躍する「職業閉店人」とは


 参考 

  • NHK『Z世代と退職代行の現実』(2023)
  • 澎湃新闻『清明节前“职业代祭扫”走红』(2024)
  • 新京报『“闭店代理人”三年关掉300多家店』(2024)
  • 弁護士ドットコムニュース『退職代行と非弁行為の境界』(2023)
  • AERA dot./東洋経済『Z世代の職場観・人間関係観』
  • 界面新闻・第一财经『情绪经济と代行新職業』
  • 解忧|00后女孩当“职业扫墓人”,你怎么看?|新民周刊







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