日本と中国の「最低賃金」現在地、次に“壁”を越えるのはどこ?

2025年に入ってから中国では複数の省で最低賃金の改定が行われている。一方、「全都道府県で時給1000円超え」を目標に掲げる日本では、格差是正と賃上げ支援の機運が高まってきた。
中国で複数の省が最低賃金を引き上げ
2025年に入ってから、中国では最低賃金の見直しが各地で進んでいる。福建省は4月1日から月額2265元を含む4段階制を導入。広東省では広州が2500元、深圳が2520元に引き上げられた。
中国で最も高い最低賃金を維持するのは上海市(月額2690元)で、時給換算では30元に近づく水準となっている。
❖中国:2025年に最低賃金を改定した地域一覧
日本も「時給1000円時代」へ
日本では2024年度の最低賃金改定を経て、2025年4月時点で全都道府県が時給950円以上となった。東京では1163円、全国加重平均は1004円に達している。
政府は「2025年までに時給1000円超え」を目標とし、秋田県(951円)や高知県(952円)でも今後大幅な引き上げが見込まれる。

◎最低時給が1000円を超えた都道府県(2024年10月~)
情報出所:令和6年度最低賃金額答申|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
制度設計の違いが「実質価値」を分ける
中国では地域によって最低賃金に「五険一金(養老保険・医療保険・工傷保険・失業保険・生育保険5つの保険と住宅積立金の総称)」を含むか否かが異なる。北京や上海では含まれておらず、企業の負担は実質的に大きい。

為替と物価で変わる「生活水準」
1元=20円換算で、上海の最低月給2690元は約5万3800円。東京で月160時間働けば、月収は約18万6000円となる。かりに上海で家賃が月4000~6000元、東京でも月6~9万円と想定しても、最低賃金だけでは生活が厳しい現実もある。

最低賃金は「社会の鏡」
最低賃金の引き上げは、社会的な格差の是正や、若年層・非正規労働者の生活安定に直結する政策だ。
中国は少子高齢化に伴い「質重視の雇用」へとシフトし、日本でも「人への投資」掲げられて久しい。「最低」の定義の先にある暮らしの実像と向き合う姿勢が、いま改めて問われている。(編集:耕雲)
参考
