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2025-05-09

常連客は“カモ”か”ニラ”か?──VIPなのに割高、ECアプリに潜む“殺熟”の真相



一杯のコーヒーが暴いた“見えない価格差”。「同じ商品なのにアカウントで価格が違う」という問題は、ビッグデータ時代における「殺熟=常連ほど損をする」現象の一つと見られている。



ラッキン騒動が映す「殺熟」の現実

発端は、ラッキンコーヒーのアプリをめぐる小さな騒動だ。一人のユーザーが、同僚と同時に同じ商品を注文したところ、表示された価格に差があった。しかも高値が提示されたのは、より頻繁にアプリを利用していたユーザーのアカウントのほうだった。


そんな出来事を明かした投稿はたちまちSNSで“拡散”され、そこで改めて注目を集めたのが「殺熟(殺熟|shāshú、シャーシュウ)」。馴染み客ほど損をする(搾取される)という中国発ネットスラングだ。





“殺熟”──搾取は親しき人から!?

通常、常連客にはポイント加算や会員特典などの優待が付与されて然るべきと思いきや、逆に割引なしの高値が提示される──そんな電子商取引での現象が散見されたのはいまに始まったことではない。アルゴリズム社会のもとでは、常連客になることで優待を得られるどころか、持続的に“カモにされる”のがオチというわけだ。


しかも一度“高額グループ”に分類されると、その状態は続きやすい。中国語では持続的に“カモにされる”ことを「割韭菜(グァ・ジウツァイ)」と呼ぶ。“ニラを刈る”、つまり再び生えるものだから、何度でも刈られる──そんな立場の存在に私たち自身が陥っている可能性は否定できない。





“お得意様”が狙われるのはなぜ?

中国ではこれまでも配車アプリのDiDi(滴滴出行)、美団(メイトゥアン)、携程(Ctrip)など、さまざまなデジタルプラットフォームで「殺熟」の事例が報告されてきた。


🔗滴滴出行/Didi」、アプリストアから削除通告受ける


検索履歴や購入頻度、使用端末の種類などから「この人は買う気がある」と判断されると、そっと価格が吊り上げられる。あたかもアルゴリズムがユーザーのアクションを追跡しつつ、“カモが葱を背負ってきた”と判断していると言わんばかりだ。


ちなみに同じ電子商取引のプラットフォームを使用していても、iOSユーザーのほうがAndroidユーザーより高値で表示される傾向があるとした説がネットでは浸透している。「iPhone=高所得者」というイメージが値付けの根拠になっているというのだ。





公平の名を借りた不平等

中国政府は「インターネット情報サービスアルゴリズム推薦管理規定」(2022年3月1日施行)に続き、『中華人民共和国消費者権益保護法施行規則』(2024年7月1日施行)を定めるなど、ビッグデータを活用した常連客に対する価格の差別的待遇(大数据杀熟)問題にメスを入れてきた。


しかし、“殺熟”行為はその後も死に絶えることなく、形を変えて生き続けているかのようだ。制度の網をすり抜けるように、静かに、そしてしたたかに。「全ての消費者に対して公平な取引を保証する」ことを達成するにはまだまだ多くのハードルを越えていく必要がありそうだ。


🔗消費者権益を守る!今年7月に施行が迫る新規制のポイントは?



刈られ続ける“ニラ”

「常連客は大切にされる」──そう信じてきた私たちにとって、“殺熟”はネットスラング以上の響きを持っている。話しが飛躍するかも知れないが、訪日外国人(一見さん)が免税制度を利用できるのに対し、 日本国内の生活者(常連客)は当然ながらその恩恵は得られない。もしかしたら、そんな構造を「ニラ刈り(割韭菜)」の一種とみなす意見もあるかも知れない。


プラットフォームへの信頼と忠誠心にもとづいた消費行動が、いつの間にか“カモ”や“ニラ”として刈り取られる側に回るかも知れない不条理。それでも私たちは懲りずにスマートフォンをタップし続ける。“賢い消費者”であるためには、演出されたお得感に疑問を抱き、必要に応じて公正を求めていく覚悟が求められそうだ。(編集:耕雲)






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