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2025-05-12

公共バスもオンデマンド時代──行きたい時間・場所を“自分で“カスタマイズ”!

交通



公共バスもオンデマンド時代

中国では、スマートフォンを使って「自分仕様」のバスを呼び出すことができる時代になった。「定制公交(カスタムバス)」と呼ばれるこのサービスは、予約制・定刻運行・1人1座席を基本に、既存の路線バスとは一線を画す、しかし確かに“公共交通”の体裁を持った新しい移動のかたちである。

移動ルートを“カスタマイズ”


上海の通勤風景が変わったのは、何も高層ビルが林立したせいばかりではない。「DZ123」や「DZ509」などと表示された、見慣れぬ番号のバスが街を走るようになった。2025年5月現在、すでに200路線以上に渡って運行されているという。


“DZ”とは「定制(DingZhi、カスタマイズ)」のな発音に由来し、乗客のニーズに応じて走る「定制公交」、すなわち“カスタマイズされたバス(カスタムバス)”を指す。通勤や通学、高齢者の通院など多様な目的での利用が増えており、まさに一人ひとりの生活に寄り添う“あつらえの足”となっている。


「随申行」アプリからリクエスト


利用はスマートフォンで完結する。上海市の市民アプリ『随申行』のメニューから「定制公交」を選択し、たとえば「朝7時半に郊外の団地から人民広場まで」などとリクエストを送る。同じ時間帯・ルートでの利用希望者が一定数集まると、路線が組まれ、定刻通りに発車、目的地まで直行してくれるというわけだ。

座席は事前に確保され、満席で立ち乗りを強いられる心配はない。いわば鉄道列車の指定席を予約するような感覚で、スムーズな都市移動が実現するのである。

路線バス利用のハードル


これまで日本人にとって中国の公共バスの利用はハードルが高かった。まず挙げられるのが、多くの路線でバス停に「時刻表」が設置されていないことがある。「朝7時から夜8時まで、10〜15分間隔で運行」といった情報は確認することができても、分単位の確かな発着時刻を把握するのは難しい。


さらに、都市部では一方通行や環状道路の影響で、往路と復路でバス停の場所が異なることも多い。「行き」はスムーズに乗れたが、「帰り」がわからない。そんな体験をした日本人観光客や長期滞在者も少なくないのではないか。地図アプリの活用によってある程度は補えるものの、一定レベルの“地の利”がないと乗りこなすのは難しいという現実がある。

新たな選択肢を得た安心感


その点、“定制公交”は画期的だ。予約時に出発地・目的地・時刻が明記され、一人ひとりに座席が割り当てられる。かつての“すし詰め”バスを経験したことがある現地の人たちも、安心・快適なサービスとして受け止めているのではないだろうか。


“定制公交のサービス”が提供されているのは上海だけではない。深圳でも「優点出行」というアプリがあり、通勤や通学ルートの開設に利用されている。一方、北京では「北京定制公交(アップグレード版)」ミニプログラムがあり、観光目的でも重宝されているという。

交通の未来は「選べる公共」

これまで私たちは、バスの走る道に自分を合わせてきたが、いまや公共交通機関が人に合わせる時代になった。もちろん、一般路線バスより料金は高くなるが、それでもタクシーやライドシェアと比べれば手頃な“中間的モビリティ”として評価されそうだ。誰もが使える新たな移動手段が、静かに、確実に広がっている。(編集:耕雲)



情報出典:

  • 上海市交通委公式サイト|shanghai.gov.cn

  • 深圳「優点巴士」紹介|youdianbus.com

  • 北京定制公交アップグレード版|beijing.gov.cn

  • 新浪財経(2025年5月8日)ほか






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