社会・文化
2024-06-04

世界の“都市力”番付、「生活の質」分野トップ100に日本の3都市

日本都市開発


オックスフォード・エコノミクスが発表した「グローバルシティーズインデックス2024」で、浜松、豊橋、沼津の3都市が「生活の質」分野のトップ100にランクインした。米国の都市の“強さ”や(日本における)東京一極集中の現状が浮き彫りになった「総合ランキング」の結果とは異なる風景を見せている。以下、ランキングの概要を見てみよう。


総合トップ10に米国4都市

オックスフォード・エコノミクス(Oxford Economics、中国語名:牛津経済研究院)による「グローバルシティーズインデックス2024」は、世界経済・人的資本・生活の質・環境・ガバナンスの5つの分野にわたる合計27の指標をもとに、世界の1,000都市の国際都市指標(グローバル・シティ・インデックス)を算出して比較したものだ。

ランキングの総合トップはニューヨークで、米国の都市がトップ10のうち半数を占めている。欧州からはロンドン、パリ、チューリッヒが、欧米以外からは東京(4位)とメルボルン(9位)がランクインした。東京以外で総合300位以内に入った日本の都市には、大阪-京都(91位)福岡(152位)、札幌(251位)、那覇(300位)がある。

Oxford_Economics_Global_Cities_Index_2024のデータを元に編集部で作成・加工


東京の「生活の質」に低評価

分野別のランキングを見ると、「経済」はニューヨーク(米国)、「人的資本」はロンドン(英国)、「生活の質」はグルノーブル(フランス)、「環境」はスバ(フィジー)、「ガバナンス」はオークランド(ニュージーランド)がトップになっている。総合4位の東京は、「人的資本」でロンドンに次ぐ2位にランクされ、多くの教育機関と高い教育水準が高評価につながった。

また、東京は、莫大なGRPの規模を擁し、「経済」でもトップ10位に踏みとどまっている。しかし、高齢化や高額な住居費、賃金や所得の低迷などの問題を抱えており、「生活の質」は218位、「環境」は277位と低順位に甘んじているのが現状だ。


欧州が「生活の質」上位を席巻

「生活の質」分野の順位では、グルノーブル(フランス)のほか、キャンベラ(オーストラリア)、ベルン(スイス)、ベルゲン(ノルウェー)、バーゼル(スイス)、ルクセンブルク、レイキャヴィーク(アイスランド)、チューリッヒ(スイス)、ゲント(ベルギー)、ナント(フランス)がトップ10にランクインしている。9都市がヨーロッパに位置し、1都市のみがオーストラリアの都市という結果となった。

「経済」や「人的資本」分野でリードする都市と比較すると、「生活の質」で上位に入った都市は総じて小ぶりである。たとえば、グルノーブル市の人口は人口は2021年のデータで約15万7000人。アルプスのふもとに位置する美しい自然環境と豊かな歴史と文化で知られ、つくば市と姉妹都市協定を結ぶ。1人当たりのレクリエーションと文化施設の多さや、収入格差が小さいことも高評価の要因になったという。


トップ100に東海3都市

総合ランキングでは“首都・東京への一極集中”という構図が鮮明な日本だが、「生活の質」分野では異なった風景も見えてくる。中でも東海地方の浜松、豊橋、沼津の3都市がトップ100に入ったことは注目に値しよう。浜松は「生活の質」カテゴリーで52位(総合315位)、豊橋は69位(総合347位)、沼津は72位(総合399位)となっている。

Oxford_Economics_Global_Cities_Index_2024のデータを抜粋し編集部で作成・加工、日本の都市の順位を「生活の質」分野と「総合」で比較した

もっとも、発表された順位に納得がいかない人も少なくないかもしれない。札幌や福岡が「生活の質」で低評価になっていることや、横浜、神戸、静岡、長野などの都市がリストアップされていないのもしっくり来ない。そもそも京都・大阪がひとつに括られて評価されているのは、関西圏の人でなくても腑に落ちないだろう。

Oxford_Economics_Global_Cities_Index_2024から


“都市力”を計測する著名レポート

ちなみに、オックスフォード・エコノミクス以外にも世界の都市をランキングした調査レポートにはさまざまなものがある。主要なものを挙げると、A.T. カーニー(Kearney)のグローバル都市指数(Global Cities Index)、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のGlobal Liveability Index、マーサー(Mercer)のQuality of Living Surve、森記念財団都市戦略研究所の「世界の都市総合力ランキング」(Global Power City Index (GPCI)といった具合だ。

格付け対象となった都市候補の選定では各レポートによって違いがある。たとえば、森記念財団都市戦略研究所の「世界の都市総合力ランキング」は経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通アクセスの6つの側面から評価する年次レポートとして定着しているが、日本の都市で対象となっているのは東京、大阪、福岡の3都市だ。名古屋や横浜は評価対象から外れている。


中国の都市の「生活の質」は?

最後に、オックスフォード・エコノミクスの「生活の質」カテゴリーで、中国の都市の位置づけについても確認しておこう。総合ランキングで76位の香港特別行政区が「生活の質」で151位となっているのが最高順位で、その他300位に入っているのはマカオ特別行政区の154位(総合254位)となっている。

中国本土の都市で順位が最も高いのは江蘇省宿遷の348位(総合484位)で、北京は367位(総合142位)、上海405位(総合278位)という順序だ。華東エリアの主要都市を見ると、江蘇省については南京474位(総合328位)、蘇州462位(総合325位)、浙江省については杭州430位(総合286位)、寧波450位(総合444位)、嘉興480位(総合491位)という順序になっている。

「生活の質」500位以内の中国の都市:Oxford_Economics_Global_Cities_Index_2024のデータを抜粋し編集部で作成、加工。

なお、余談だが、中国の都市名を英語表記にすることの不便さを感じたのは「Suzhou」だ。同ランキング表には蘇州(江蘇省)と宿州(安徽省)の2都市が登場しているので注意が必要だ。(編集:耕雲)


Oxford_Economics_Global_Cities_Index_2024から

 参考 


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