中国で“半ドン”経済に脚光、「週休2.5制」が照らす“自由な午後”の値打ち
中国で“半ドン”経済に脚光、「週休2.5制」が照らす“自由な午後”の値打ち
四川省綿陽市が週休2.5制度の試行を発表し、話題になっている。日本では”プレミアムフライデー”はもとより”半ドン”も死語化しているが、中国では“午後の自由”の再評価から景気の浮揚を目指す試みが浸透を始めている。
❖ 中国で週休2.5日制が話題:
2025年、中国四川省綿陽市が発表した「2025年消費活性化特定行動計画作業一覧(提振消費専項行動2025年工作清単)」の中で、「週休2.5日弾力勤務制(4.5天彈性工作制」の試行が提案された[1]。金曜を「半日出勤」とし、午後を休暇とすることで週末へと滑らかに連結させ、消費を刺激しようという試みである。
日本に例えるなら“プレミアムフライデー”の進化版、あるいは東京都が試す週休3日制の未完成版と見られるだろうか。金曜日の半休と土日との相乗効果で“週末経済”が活性化すれば、子育てや学び直し、観光消費が動き出し、可処分時間の増大が消費の追い風になるという期待がある。
ただ、2017年に試験導入された“プレミアムフライデー”は、「金曜は早めに退勤し、豊かに過ごす」という宣言だけは立派だったが、定着することなく人々の記憶からも薄れてしまった感がある[2]。
❖ 昭和のレトロ、「半ドン」の記憶:
「半日出勤」と聞いて、懐かしさを感じる向きもあるだろう。それは昭和時代に存在した「半ドン」という慣行である。正午に鳴る号砲「ドン」や、オランダ語で 休日を意味する「zondag(ゾンターク)」が由来など呼称には諸説ある。土曜午前のみ勤務、午後は休みというリズムは控えめながらも豊かな自由時間を生み出していた[3]。
週休2日制の普及とともにそんな「半ドン」文化は消えていったが、その後に現れた「ハナキン」「ハナモク(花の木曜日)」といった言葉も、バブル経済が終焉し、長期的な実質賃金の停滞の時代に入ると、自然と忘れ去られていった[8]。

❖ “週休2日”という言葉の罠:
“プレミアムフライデー”や“ハッピーマンデー”はいわずもがな、休暇制度に関する呼称はしばしば人を煙に巻く。日本では週休2日制という言葉が、たとえ月に1回の土曜休みでも使われることがあることには注意が必要だ[4]。
中国でも「大小週(だいしょうしゅう)」という制度がある。1週目は6日勤務、2週目は5日勤務というサイクルが交互に続くもので、これも“週休2日”という言葉に包まれて実態が見えにくい[5]。
また、中国の「調休」制度(祝日を連休化するための振替勤務)も、形式的には休暇を増やしているようで、実際には週末が潰れるケースも多く、ネット上ではたびたび批判の的となる[6]。
🔗「振替出勤日」カレンダーに恨み節、ネットでは“ペテン”との声も❖ 「午後の自由」の値打ち:
プレミアムフライデーが定着しなかった背景には、日本が30年にわたって実質賃金の停滞と可処分所得の減少に直面していたことが大きいだろう[7]。“時短”や“ワークライフバランス”という理念を掲げる以前に、根本的な生活基盤の改善が求められていたのだ。
言葉の装飾に終始し、実態を伴わない制度設計は、かえって働き方や生活の質を見誤らせるリスクがある。そうした中で、中国・綿陽市が金曜午後という「準休日」の導入を図り、“半ドン経済”の創出を模索していることは注目に値する。
たかが半ドン、されど半ドン。失われた「自由な時間」の再構築こそが、これからの経済と生活のインフラを強固にする鍵となるのかもしれない。
(編集:耕雲)

【脚注・情報源一覧】
CNA|《四川绵阳试行4.5天工作制鼓励消费》(2025年5月24日)
https://www.cna.com.tw/news/acn/202505240194.aspx経済産業省「プレミアムフライデー推進協議会」
https://www.meti.go.jp/press/2016/12/20161222003/20161222003.html語源由来辞典・デジタル大辞泉(小学館) 厚生労働省「労働基準法第35条」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html人民網|《职场“大小周”工作制争议不断》
https://hr.people.com.cn/n1/2021/0715/c190928-32157032.html新華社および微博・知乎の投稿によるネット世論分析(2023〜2025年) OECD統計:日本の実質賃金推移(1990〜2024年)
https://stats.oecd.org/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)