コメ増産なくして"景氣"浮揚なし!? 令和の米騒動が示す日本の岐路

コメ増産なくして"景氣"浮揚なし!? 令和の米騒動が示す日本の岐路
令和7年、日本でコメ不足と価格高騰が進む一方、中国は"米飯自由"を確保している。「平成の米騒動」から30年余り、両国のコメ生産高にはGDPの規模よりも大きな格差がある。
■ 国産新米が“高嶺の花”になる時代
炊きたての白いご飯。たまごかけ、梅干し、鮭の塩焼き──それだけで小さな幸せを感じられるのが日本人の食卓だった。ところが2025年、その“ささやかな幸福”にスーパーの棚の値札が立ちはだかっている。5キロで4,000円超える高騰ぶり。1年でざっと倍額になった計算だ。

■ 1993年──食卓の未来が分かれた年
視線を中国に向けると、「米飯自由(ミーファン・ズーヨウ)」という、どこか詩的な言葉が生きている。経済的な負担をそれほど感じることなく気兼ねなく手にすることができることを意味する。もちろん、その"自由"は一朝一夕に実現したものではない。「ハイブリッド米の父」と呼ばれた袁隆平氏の功績や、技術革新の積み重ねによるところも大きいことだろう。
そして1993年。この年は、日中両国にとって「食の運命」が分かれる転機となった。中国では長年続いた配給制度(糧票)が正式に廃止され、「米飯自由」がもたらされたのに対し、日本では記録的冷夏によって「平成の米騒動」が起きたのだ。

■ “備蓄”で備え、“減反”で縛った日本
平成の米騒動は、主食のコメの増産へ舵を切るべしとの天からの警鐘だったのかもしれない。だが日本は、備蓄制度こそ整えたものの、減反政策の根本は見直されず、2018年まで継続。その後も、補助金による転作奨励という形で、事実上の減反が続いているとされる。
結果として日本の自給率は38%。1970年代には70%超を記録していたことを思えば、これは深刻な後退である。対して中国は、主食三大作物(米・小麦・トウモロコシ)の自給率が95%以上といわれる。まさに“農業強国”の面目躍如といったところだ。
■ “大小の米”に包囲される日本
「工業を守るために農業を犠牲にした」とも言われてきた日本。だが、いまや自動車産業すら盤石ではないという見方さえある。BYDに続けとばかり、シャオミ(小米)がスマートフォンや家電だけでなくEV分野でも頭角を現してきた。10年以内の世界トップ5入りを目標に掲げ、日本市場への進出を果たす日も近いかも知れない。
周知の通り、日本は米国から“大米(ダーミィ)=米”を輸入している。すなわち、日本は今、「米国からの"大米"」と「中国からの小米(シャオミ)」という、大小の“米”に挟まれているという現実に直面している。

■ 名言か、迷言か──政治家の“コメ観”
こうした状況のなか、いま日本の政界ではコメをめぐる政治家の名言、迷言が相次ぎ世間を騒然とさせている。「日本のコメを世界に届けるのが責任」と石破茂首相がコメ不足中の“輸出優先”方針を示したかと思えば、「コメは買ったことがない」と発言して江藤拓議員が農水相を辞任。代わって入閣した小泉進次郎農水相は「コメは(備蓄期間によって)"減価償却"される」とコメントし、会計用語の誤用が波紋を呼んだ。
また、国民民主党の玉木雄一郎代表は、「1年経ったら動物の餌になる」と備蓄米を評して物議を醸した。「トマホークはかじれない」と、コメの増産に向けた取り組みを重視すべきと訴えていた八幡愛議員(れいわ新選組)の発言も注目に値するだろう。

■ "景氣"浮揚に必要なのは「米の再興」
“気力”“気概”“気配”、そして“景気”──これらは本来、「氣」という文字に含まれた“米”から始まっている。戦後、その文字から“米”が取り除かれるや、食生活は多様化し、いつしか日本人暮らしから「米の気配」さえ失われつつあるような事態に遭遇してしまった。
だが、「コメを食べる自由」とは、単なる食生活スタイルの選択肢という話ではない。本気で"景氣"を浮揚させたいのなら、今こそ、内なる「米」を取り戻す時だーーそんな想いを強くしている日本人は多いのではないだろうか。(編集:耕雲)

農林水産省「令和4年度 食料自給率・食料自給力指標について」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/index-2.pdf総務省統計局「家計調査に見る米の家計支出と物価動向(2025年速報値)」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/国際穀物理事会(IGC)「2024年世界米生産量統計」
https://www.igc.int/en/downloads/gmrsummary/gmrsumme.pdf中国国家統計局「2024年主要農作物生産実績公報」
http://www.stats.gov.cn/tjsj/新華網「中国、“米飯自由”の背後にある食糧政策の進化」
https://jp.xinhuanet.com/202405/mifanziyou.html日本経済新聞(2025年2月6日)「小泉農水相、“古米は減価償却”発言で物議」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0274H0S5A200C2000000/朝日新聞(2025年3月)「玉木代表、“動物の餌”発言が波紋」
https://www.asahi.com/articles/DA3S15820300.htmlれいわ新選組 党公式サイト「八幡愛議員の国会質疑(2025年1月27日)」
https://reiwa-shinsengumi.com/activity/20250127/中国EV産業レポート(2025年版)「BYD・Xiaomi・NIOの世界戦略」
https://www.caam.org.cn/automotive-trends/chinaev2025.html日本農業新聞(2024年11月)「1993年、平成の米騒動と備蓄制度の創設経緯」
https://www.agrinews.co.jp/p50793.html
