その他
2025-06-04

安福路は“上海の代官山”となるか──文芸歩行街構想とリアル

中国上海都市開発



カフェと書店が並ぶ静かなプラタナス並木通りとして知られる安福路が、いま「歩行者天国化」をめぐる議論の中心にある。“上海の代官山”とも目されるこの通りに、観光と生活の両立は可能なのか。


“網紅通り”が政策議論の中心に


上海市の旧フランス租界に属する徐匯区の一角に位置する「安福路」。全長わずか600メートルほどのプラタナス並木通りであり、カフェやギャラリーが軒を連ね、文芸とファッションが交錯する。これまでもSNSで“網紅(ワンホン)ストリート”として注目を集めてきた。


そんな安福路がいま、都市空間をめぐる議論の最前線にある。“文芸歩行街”として整備し、歩行者天国とする構想が打ち出され、一躍脚光を浴びているのだ。モデルとして描かれているのは上海版“アベニュー・オブ・スターズ(星光大道)”だという。


「網紅(ワンホン)」とはSNSや動画配信などを通じて人気を集めるインフルエンサーを指す中国語の俗称。「網紅通り」は、そうしたインフルエンサーが訪れたり紹介したりすることで人気となった通りやスポットの俗称で、視覚的な魅力や話題性の高い飲食・雑貨・建築・街並みなどが集積した都市空間を指す。



歩行者天国構想の賛否と現実


この構想を提案したのは、上海戯劇学院映画学院の院長・厲震林氏である。“チャイナスピード”とは一線を画した静謐な空間を、「南京東路に次ぐ都市型歩行街」として、文化観光と文芸創作の融合ゾーンに変身させようというのだ。



もっとも、その構想を実現するのは容易ではない。安福路の周辺には住宅街や「愛菊小学校」など生活・教育機能が密集しており、住民の生活圏と観光ニーズのバランスが課題となっている。


そのため、徐匯区政府は、全面的な車両通行止めに対しては慎重な姿勢を示しつつ、週末や祝日の限定的な歩行空間の整備について対応を検討するなど、代替案を模索していると見られている。


上海に存在する歩行者天国

観光地化で失う「地元らしさ」


上海市内には、すでに多くの歩行者天国が存在している。外灘に続く南京東路の延伸型歩行街、観光名所と化した田子坊、文学の記憶が宿る多倫路、そして欧風建築が並ぶ思南路や武康路などがその代表例だ。


これらはいずれも都市観光に大きく貢献する一方で、急速な観光地化により「地元らしさ」が喪失し、家賃の高騰などの副作用を抱えるケースも少なくない。


エリア名
所在地(区)
特色
主なターゲット層
安福路
徐匯区
文芸カフェ・独立系書店・現代演劇の拠点
中産層若者・外国人・アート愛好家
武康路
徐匯区
歴史建築と高級住宅街、クラシックな雰囲気
歴史建築ファン・高級志向層
多倫路
虹口区
近代作家の旧居多数、文学の記憶が残る歩行街
文学ファン・観光客・歴史散策者
田子坊
黄浦区
小路に広がるアート雑貨街と創作料理店
若者・観光客・アートファン
思南路
黄浦区
近代洋館と現代生活の融合、静謐な街歩き
都会派散歩好き・上品志向層



プラタナス並木の葉擦れの音とともに


現在、徐匯区は安福路一帯を「国家級観光休暇街区」として再構築する方針を打ち出している。歴史建築の保存、文創イベントの誘致、国潮ブランドの進出──歩行空間化にとどまらず、多様な都市演出が着実に進みつつある


忘れてならないのは、歩行者天国が付加価値を創出するための手段にすぎないということだ。開発という“劇薬”に過度に頼ることなく、プラタナス並木をわたる葉擦れの音に耳を澄ませながら、緩やかに歩みを進める──そんな穏やかな継続の中に身を置きたいと願う市民は、決して少なくないはずである。(編集:耕雲)

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 参考 

委员建议将“网红”安福路打造成文艺步行街,上海徐汇区回应

上海“网红”安福路将打造成步行街?官方最新答复







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