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2025-06-06

9歳で眼軸が大人並み―― “愛眼デー”が問いかける視力商材ブームの落とし穴



9歳で眼軸が大人並み―― 6月6日“愛眼日”が問いかける視力商材ブームの落とし穴


6月6日は中国の「全国愛眼日(爱眼日)」。1996年に国家衛生部等が制定し、青少年の近視問題を中心に視力保護の啓発が行われてきた。「子どもの健康リスク」への関心が高まるなか、近視対策に名を借りた商材の氾濫と、その落とし穴に注意が呼びかけられている。

◆中国の6月6日は「愛眼デー」

初夏の陽気がじんわりと街を包む6月6日、この日は中国で「全国愛眼日」に当たる。1996年に制定され、今年で30回目を迎えた。主に青少年の視力低下という憂うべき現象に警鐘を鳴らすことを目的とする記念日で、全国規模で「目を大事にしよう」と啓発キャンペーンが張られる。

もっとも、同じ東アジアの隣国・日本で「目」に関する記念日といえば10月10日の「目の愛護デー」が相場である。この日付の数字が横にすると眉と目に見えるというのが由来だ。日中両国ともに「視る」という行為に記念日としての意味を託しているのはユニークだ。

出所:Front&Sullivan(以下リンク記事に掲載のデータを元に加工・作成)|🔗阿里健康发布《儿童青少年近视防控白皮书》


◆ 日中に共通する児童の視力問題

さて、中国ではいま、「スマホ世代」の児童・青年たちが、電子端末をまるで空気のように吸い込みながら育っている。そしてその代償として、視力がごっそりと削られている現実に直面している。

中学生は70%以上、高校生は80%以上が近視だといわれる。これでは教室という名の集団が、眼鏡市場の縮図と化していても不思議ではない。教師が黒板に書くたびに、「見えません!」と叫ぶ声があちこちから上がる風景が目に浮かぶようだ。

近視の定義・日中比較
観点
中国
日本
近視の屈折定義
-0.50D以下
-0.50D以下
分類基準
軽・中・高の3段階(+眼軸)
明確な分類なし(臨床では3段階)
裸眼視力基準
0.5未満で「近視疑い」
0.7未満で「矯正対象」
高度近視の指標
-6.00D超 または 眼軸長26.0mm以上
-6.00D 超を『強度近視』と分類(臨床基準)

出典:国家衛健委「近視防治指南2024」、文部科学省 学校保健統計調査、日本眼科学会資料 等


◆ “見えない成長”がもたらす将来リスク

専門家による見解を紹介したメディア記事から引用すると、子どもには生まれたときに「生理的遠視」という眼の設計図があるという。そして、それは成長とともに徐々に正視に近づくようプログラムされているのだが、現代の子どもたちは8歳にしてこの”遠視貯金”を使い果たしてしまう。

とりわけ深刻なのが、眼軸というパーツの成長スピードであり、9歳にして大人と同じ24ミリメートルに達するケースもあることだ。これが26ミリを超えると「高度近視」になる。網膜剥離や黄斑変性といった眼底の大惨事を引き起こしかねないというから看過できない。


【日本:裸眼視力1.0未満の者の推移】
(文部科学省「令和4年度 学校保健統計調査」より、一部を抜粋)
区分
視力区分
調査年度
昭和54年度
令和元年度
令和2年度
令和3年度
令和4年度
幼稚園
合計
16.47 %
26.06 %
27.90 %
24.81 %
24.95 %
1.0未満 0.7以上
12.21 %
18.44 %
21.12 %
17.62 %
18.13 %
0.7未満 0.3以上
3.91 %
7.03 %
6.10 %
6.54 %
5.85 %
0.3未満
0.35 %
0.60 %
0.68 %
0.64 %
0.97 %
小学校
合計
17.91 %
34.57 %
37.52 %
36.87 %
37.87 %
1.0未満 0.7以上
9.47 %
12.01 %
12.71 %
12.54 %
11.98 %
0.7未満 0.3以上
5.77 %
13.18 %
13.89 %
13.69 %
13.90 %
0.3未満
2.67 %
9.38 %
10.92 %
10.64 %
11.99 %
中学校
合計
35.19 %
57.47 %
58.29 %
60.66 %
61.23 %
1.0未満 0.7以上
9.65 %
12.73 %
13.52 %
11.43 %
12.39 %
0.7未満 0.3以上
12.47 %
17.67 %
19.42 %
20.37 %
20.58 %
0.3未満
13.06 %
27.07 %
25.34 %
28.86 %
28.26 %
高等学校
合計
53.02 %
67.64 %
63.17 %
70.81 %
71.56 %
1.0未満 0.7以上
11.12 %
11.26 %
13.52 %
9.74 %
11.39 %
0.7未満 0.3以上
15.61 %
17.40 %
18.12 %
18.32 %
18.06 %
0.3未満
26.29 %
38.98 %
31.52 %
42.75 %
42.11 %

※ 調査期間:令和4年4月1日~令和5年3月31日

文部科学省「令和4年度 学校保健統計調査(確報値)」(令和5年11月28日公表)より作成

◆ 視力保護か商機か──“近視ビジネス”の実態

こうしたなかで盛況を見るのが「近視ビジネス」の面々である。アイマッサージ機に始まり、ブルーライトカット眼鏡、視力回復サプリ、さらには「度数コントロール眼鏡」なる珍妙なネーミングの商品まである。「30日で視力が回復する」「飲むだけで目が良くなる」などのキャッチコピーに藁にもすがる思いで購入する親御さんはあとを絶たないようだ。

もちろん国家市場監督総局はこうした虚偽広告を規制し、「近視克星」「完全治癒」などの表現を禁じている。それでも抜け穴は広く、言い換え表現による誤認表示も根強く残る。

加えて、使用法を誤れば逆効果となる製品もある。たとえば、青色光を過剰に遮る眼鏡は、色彩感覚を損ない、かえって眼精疲労を引き起こす可能性がある。光を遮っているつもりが、未来の可能性まで曇らせてしまっては本末転倒である。

近年、視力予防・治療用医療機器に対する監督・取締りも実施されてきた

◆ 医療と生活習慣の再設計

こうしたトラブルを回避するためには、科学的に実証された方法で解決を図るほかない。DIMSという特殊設計の眼鏡レンズ、夜間装用で角膜を整えるOKレンズ、あるいは低濃度アトロピン点眼。これらは臨床的なエビデンスに裏打ちされた選択肢だといわれるが、これにも信頼できる専門家から確かなアドバイスを仰ぎたいところだ。

もっと重要なのは生活習慣の見直しだろう。読書をするなら30センチ以上の距離を保つ。照明はスタンドだけでなく部屋全体を明るく保つ。スマホやゲームは20分ごとに休憩し、毎日外で太陽の光を浴びることを心がけたい。そして、甘い物の摂取はほどほどにするのが望ましいとされる。

6月6日、「愛眼日」。子どもたちの視界が“近視眼的”に狭まることなく、未来へとすうっと伸びてゆくことを願いたい。親御さんにとってこの日は、わが子の「六六大顺(liù liù dà shùn/万事大成功)」への祈りをこめる記念日でもあるのだ。(編集:耕雲)



     参考 

    中国|近視防治の国家基準・分類

     国家衛生健康委「《近视防治指南(2024年版)》」(2024年3月)

    中国|光明行動計画と学校健診基準

     教育部・国家衛健委 等「儿童青少年近视防控光明行动工作方案(2021—2025年)」

    日本|学校健診における視力分類

     文部科学省「令和4年度 学校保健統計調査(確報値)」

    日本|矯正視力と裸眼視力の基準

     厚生労働省「視機能の保健指導に関する資料」

    日本|医療機関における近視定義

     日本眼科学会「近視とは」

    中国|阿里健康发布《儿童青少年近视防控白皮书》

    中国|阿里健康发布《儿童青少年近视防控白皮书》
    中国|青少年近视率过半!“视力存款”保卫战背后的真相
    中国|9 岁孩子眼轴和大人一样!预防近视10个常识,大多数家长没重视!

    日本|視力1.0未満の子どもが過去最高に 高校生は7割超…視力低下止まらず 文科省|テレビ朝日

    日本|最新データから見る小中高生の視力低下と原因 - 視力回復の視力ケアセンター 京都四条烏丸









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