感染症ダブルリスク:ニムバス拡大、エムポックスの“緊急事態”継続
感染症ダブルリスク──Nimbus拡大、エムポックスの"緊急事態"継続
2025年6月現在、世界は新型コロナウイルスのNimbus変異株(NB.1.8.1、ニムバス)と、昨年夏にPHEICに再指定されたエムポックスの拡大に直面している。両感染症の特徴を理解したうえで確かな対策が望まれる。
Nimbus株の最新動向
2025年1月下旬に中国で初めて検出されたNimbus株(NB.1.8.1)は、5月末時点で感染地域は22か国以上に及んでいる。6月5日には英国が輸入症例13例を確認したと発表した。喉の奥に硝子の刃を潜ませるかのような痛みを伴うのが特徴で、倦怠感、軽い咳、鼻づまり、筋肉痛、消化器症状といった症状も報告されている。
ワクチン接種者における重症化や死亡率の増加は認められていないが、感染力は従来のオミクロン系株を上回る。WHO(世界保健機関)は当該株を「注視すべき変異株(VUM)」に分類し、引き続きワクチン接種の継続、換気・手指衛生の徹底、症状発現時の早期検査や自宅療養を推奨している。
感染予防効果は限定的ながら、重症化と入院・死亡のリスク低減には明確な効果 | 感染予防効果は限定的ながら、重症化と入院・死亡のリスク低減には明確な効果 |
エムポックスの新型株に警戒
一方、WHOが警戒を強めているのが、エムポックスのクレードI(コンゴ盆地型)のサブグループに属する「Clade Ib(クロードIb)」だ。2023年以降に出現した株であり、コンゴ民主共和国(DRC)南キヴ州を中心に報告されてきた。従来のクレードIより致死率は低いものの、ヒトからヒトへの感染が起こりやすく、家庭内感染や異性間の性的接触でも広がっている。エムボックスは2024年8月14日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に再指定された。
WHOの2025年5月の報告書によれば、2024年以降、エムポックスの感染例は25か国で3万7,000件以上に及び、死亡例は125人を数える。感染の中心地はアフリカ諸国で、アジアでは日本、タイ、オーストラリア、中国に渡航関連症例が確認された。水際対策として渡航管理を強化する国もあり、インドネシアの場合、昨年夏から全渡航者に対して健康状態・渡航歴の電子申告義務を課すなどの厳格な措置を実施している。
感染防止に向けた心得
Nimbus株の感染防止対策としては、ワクチン接種の継続、定期的な換気、混雑時のマスク着用、体調不良時の早期検査が有効だとされる。エムポックスについては、渡航前に目的地の医療機関情報とワクチン利用可否を確認し、感染源との接触を避けることに留意したい。また、両感染症に共通した基本対策として、手指衛生の徹底、症状の早期把握、企業および個人レベルでの対応マニュアルの定期見直しが推奨されている。

専門家は、都市部における感染拡大リスクや医療アクセス格差を懸念する。Nimbus株の重症化やエムポックスの感染地域の拡大といった事態に至った場合には、感染症が医療リソースに与える負荷がどうなるのか注視していく必要がある。
H5N1型インフルエンザやエボラウイルス、狂犬病の動向なども要注視だろう。日中間を往来するビジネスパーソンも、WHOや各国保健当局の情報収集を継続するなど、情勢の把握と柔軟な対応に努めたいところだ。(編集:耕雲)