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2025-06-12

中国は20日、日本は5日? 少子化対策に必要なのは「愛と給付と結婚休暇」?

中国日本



◆ 結婚に休暇を、未来に希望を──中国で拡がる「長期“婚休”」と日本の現実

中国各地で結婚(婚姻)休暇の期間を延長する動きが加速している。四川は20日、山西は最大30日。一方、日本は法定の結婚休暇制度がなく、企業ごとの慶弔休暇制度により平均5日程度にとどまっているのが実情だ。年間予算7兆3000億円を誇るこども家庭庁が繰り出す施策も「骨太」とは言いがたい。

◆ 中国で“婚休”拡大トレンド

中国では今、結婚に対する制度的支援が急速に拡大している。四川省は結婚休暇を5日から20日に、山東省も最大18日に延長。さらに山西省では一部都市で最大30日の結婚休暇制度が既に導入されており、甘粛省でも同様の方向で条例改正が進められている。

背景には、都市で働く若者が地元に戻って挙式を行う際の移動日程や準備期間への配慮がある。婚前健康診断への参加を条件に追加休暇が付与される地域もあり、結婚から出産・育児へと続くライフステージ全体を支える“制度の先回り”が印象的だ。

2024年5月施行の「婚姻登記条例」改正により、婚姻登録も戸籍地に縛られず全国どこでも可能となり、利便性はさらに高まった。

◆ 日本の結婚休暇、制度不在という現実

一方の日本では、全国または自治体単位で定められた法的な結婚休暇制度は存在せず、民間企業や公務員制度に委ねられている。

民間企業では平均5日程度の特別休暇が与えられるケースが多いが、非正規雇用者は対象外となることが少なくない。国家公務員は婚姻日から1か月以内に連続5日間の取得が認められているが、申請のタイミングや運用に制限がある。地方公務員も対応は自治体によって異なり、事実上、自己責任で調整せざるを得ない仕組みとなっている。


◆ “骨太”とは言いがたい日本の少子化対策

日本政府は2025年度、こども家庭庁に約7.3兆円の予算を投じ、「こどもまんなか実行計画2025」を6月6日に閣議決定。妊娠・出産時の10万円給付や、児童手当の所得制限撤廃、育休給付の実質10割化などの施策が盛り込まれた。

しかし、2024年の出生数は68万6061人と過去最低を記録し、前年から約4万人減。危機的な状況にもかかわらず、これらの施策が「骨太の方針」と言えるのかについては疑問の声も多い。


◆ 注目を集めたパントンライの結婚支援策

これは稀有な事例かも知れないが、中国の民間企業が独自に結婚支援の合理化に踏み出す場合もある。河南省のスーパー「胖東来(パントンライ)」はその象徴的な存在であり、同社は新婚社員に向けて手厚い福利厚生の制度を設置、結婚時には一律2000元の祝い金を支給する。

一方で、企業理念として「自立推奨方針」を掲げ、親の援助に頼った住宅や車の購入が禁止されているのも注目に値する。従業員同士の公平性を促進し、企業文化を一層強化する狙いもあると見られている。

🔗不思議な会社「パントンライ」、地域密着で急成長、今年の注目トピック 


◆ “自由”が建前になっていないか

前述した通り、日本では結婚に伴う休暇や経済的支援が法的に保障されておらず、結果として、個人の裁量や「自由」の名のもとに支援が限定的なものにとどまっている。結婚・出産をめぐる不安や孤立感が若年層に広がる背景には、時間、金銭両面での制約がある。


本格的な少子化対策に日本が取り組むとしたら、やはり啓発事業にとどまらず、現実的な制度整備を伴いたいところだ。たとえば、最低基準を伴う結婚休暇制度の導入、非正規雇用者を含む福利厚生の拡充、経済的給付の強化などだ。若者が必要としているのは「制度的安心感」だとされている。いわば“愛と給付と婚姻休暇”といった実効性ある支援が望まれているのだろう。(編集:耕雲)


📅 2025年中国各省・自治区・直轄市 婚姻休暇日数一覧表

省・自治区・直轄市
婚姻休暇日数
実施詳細
備考
甘粛省、山西省
30日
追加条件なし
全国最長の婚姻休暇
四川省
25日
基本20日 + 婚前健康診断の任意受診で追加5日
草案意見募集中、近く実施予定
河南省
28日
基本21日 + 婚前健康診断受診で追加7日
婚検追加日数が最大
黒竜江省、新疆ウイグル自治区
20日以上
詳細は地方規定による
河南・四川と共に第二グループ
山東省
18日
基本15日 + 婚前健康診断受診で追加3日
2025年1月施行済み
北京市、上海市
10日
国家法定3日 + 地方延長7日
北京は営業日計算(休日含まず)
江蘇省、安徽省
13日
国家法定3日 + 地方延長10日
安徽は復婚の場合延長休暇対象外
江西省
15-18日
基本15日、婚前健康診断受診で追加可能性あり(地方細則による)
復婚は延長休暇対象外
広東省、広西チワン族自治区、湖北省
3日
国家法定婚姻休暇のみ適用、延長なし
湖北は延長政策早期制定を表明

⚠️ 説明

  • 延長婚姻休暇の適用範囲
    : 全国27省が延長を明示(山西、四川、河南等)。但し広東、広西、湖北は依然として法定3日。湖北は延長政策の早期制定を表明。
  • 婚前健康診断のインセンティブ
    : 四川、河南、山東等では任意で婚前健康診断を受診したカップルに追加休暇(3-7日)を付与。婚検率向上が目的。
  • 再婚/復婚の取扱い
    :
    • 再婚
      : 全国的に原則として全休暇日数を享受可能。
    • 復婚
      : 山東、北京、上海では休暇取得可。安徽、江西では延長休暇の対象外と明記。



【情報源】

  1. 四川省人民代表大会常務委員会《四川省人口与计划生育条例》修正案(2023年改正)
    http://www.scspc.gov.cn/
  2. 山東省《人口与计划生育条例》2022年改正に基づく婚假延長措置
    http://www.shandong.gov.cn/
  3. 山西省・甘粛省における30日婚休:地方法規改正に基づく施行(2021年〜)
    http://www.gansu.gov.cn/
  4. 中華人民共和国民政部「婚姻登记条例」改正通知(2024年5月20日施行)
    民政部公式サイト
  5. 日本国 人事院「国家公務員の結婚休暇に関する規定(人事院規則14-8)」
    https://www.jinji.go.jp/
  6. 厚生労働省「令和6年度(2024年)人口動態統計速報」出生数:68万6061人
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/...
  7. 内閣府「こどもまんなか実行計画2025」関連予算および少子化対策資料(2025年度)
    https://www.cao.go.jp/
  8. 厚生労働省「プレコンセプションケア推進計画」政策概要とプレコンサポーター育成方針(2024年度開始)
    厚労省 少子化対策ページ
  9. 澎湃新聞(The Paper)・大河報等報道による胖東来(パントンライ)社の結婚支援施策(2024年11月)
    https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_25809387






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