その他
2025-06-25

ペットが“旅客”に昇格する日──空港と高速鉄道で新潮流、サービス進化中

交通鉄道



ペットが“旅客”になる時代、空・鉄でサービス進化中

空港や高速鉄道でペット向けサービスが本格始動。専用待機・運搬サービスが拡大し、“動物福祉”と“萌え経済”が交通インフラに浸透している。

空の移動空港の“ペット専用空間”が増加中

南寧日報の報道によると、広西チワン族自治区の南寧空港で6月17日、「ペット候機廳(ペット専用待合室)」がオープンした。空調設備、除臭システム、ペット給水器、健康監視装置を備え、従来の貨物扱いから脱却し、“動物福祉”を意識した空間が整えられている。

“ペット専用待合室”ともいうべきスペースが中国の空港に設置されたのは深圳、成都に続き南寧が3例目。ペットを伴だった旅を支援しつつ、航空貨物の高付加価値化という視点でも注目されている。空港物流が“萌え経済”と融合する時代が到来した。

🔗深セン空港にイヌ・ネコ専用待合室、「愛犬の日」に“ペットフレンドリー”な話題相次ぐ


高速鉄道“ワンニャン”たちの乗車開始

一方、中国鉄道部門でも動きが見られる。4月8日に試験的に開始されたペット託送サービスが、6月20日からさらに運用対象が拡大している。カバーする範囲は、京滬(北京‐上海)、京広(北京‐広州)、京哈(北京‐ハルピン)、滬昆(上海‐昆明)など8本の高速鉄道路線、計25駅、38本の列車に及ぶ。(参照:鉄路12306Weixin公式アカウント「6月20日起铁路部门扩大高铁宠物托运服务试点范围」)

ただし、予約は「鉄道12306」アプリで乗車2日以上前に行う必要があり、運搬できるのは家庭で飼養された健康な犬・猫1匹に限られる。体重15kg以下・肩高40cm以下を上限とするなどの制約もある。また、専用キャリーケースに収めることが義務付けられ、飼い主とは別車両での“乗車”が前提となる。

それでも、そんな“萌え客”を取り込む試みは、鉄道による運送が移動の多様性と生活の質の向上を目指す動きと歩調を合わせているといってよい。

🔗愛犬・愛猫も中国高鉄デビュー!分離輸送が始動


経済トレンドペット経済1兆元時代へ

『2025年中国ペット産業白書(消費報告)』によれば、2024年の中国都市部における犬猫の飼育数は1億2000万匹を超え(前年比2.1%増)、消費市場規模は3002億元に達した(前年比7.5%増)。一方、別のレポート『2024~2025年中国ペット産業運営状況および消費市場モニタリング報告』によると、2028年には中国のペット市場規模が1兆1500億元に達すると予測されている。(参照:中国会計報Weixin公式アカウント「“它经济”迈入“万亿时代」)

“ペット産業”は、主食やスナック、サプリメントなどペットフードの加工・販売、ペット飼育といった川上・川中産業はもとより、薬品や診療、ワクチン、健康診断を含むペット医療、入浴や美容、しつけといった川下産業に至るまで多岐に渡る。あらゆる分野で関連産業が立ち上がり、都市部の中産層や独身世帯を中心に消費が拡大している。ペットはもはや家計の一部であり、命のパートナーとして社会に位置付けられている。

🔗人のジムが消えて、犬が鍛える時代?健康ブームはペットが主役


課題と制度“ペット同伴”時代の規制対応

一方、公共交通機関を利用してペットと移動する際には、鳴き声や排泄物、アレルギー対応、他の乗客との共存など、多くの課題が伴う。

事前登録制や指定車両の導入といった段階的な対応を進める国や地域もあるが、国土の広い中国では地域ごとの対応にばらつきが生じる可能性も高い。“利便性”と“公共性”のバランスをいかに保ちながら、統一的なルールを構築していくか──それが今後の大きな課題となるだろう。

🔗都市部で際立つ若者のペット消費、飼い主の半数が「90後」

都市と共生ペットは社会の“鏡”となる

ペットは単なる癒しの存在を超え、いまや社会の成熟度を映す“鏡”となっている。ホテルやカフェ、ショッピングモールにもペットフレンドリーな設備が整いつつあり、都市インフラの再設計が進む。

人と動物がストレスなく共に生きる社会——それはテクノロジーや制度だけでなく、“思いやり”というソフトパワーを基盤とした文明の新たな姿を示している。(編集:耕雲)

  1. 深圳晚报『深圳宝安国际机场国内货站首家宠物候机厅启用』2025年6月上旬
  2. 南国早報『南寧呉圩国際空港貨物ターミナルにペット候機廳正式開業』2025年6月17日
  3. 广西日报『南寧空港“寵物候機廳”開業、広西初・全国3例目』2025年6月18日
  4. 中国鉄路微信公号「高鉄宠物托运服务试点范围扩大公告」2025年6月20日
  5. 新华网「中国高铁同车托运宠物服务范围扩大」2025年6月19日
  6. Frost & Sullivan, Global Pet Industry Outlook 2025, 2025年
  7. 中商产业研究院『2025年宠物行业市场前景预测报告』2025年6月
  8. European Union Agency for Railways (ERA), Guidelines on Pet Transport, 2024年
  9. 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)「ペット同伴利用ルール」公式ウェブサイト, 2025年閲覧






この記事をシェアする

関連記事

その他

紙きっぷにさよなら!中国の鉄道、10月から電子版へ完全移行

2025-10-28

中国交通鉄道
その他

「紙」が消えた中国高速鉄道、若者層の"体験"重視のサービス続々

2025-10-21

中国交通鉄道
その他

紙きっぷ廃止で資源削減 中国の鉄道、10月から電子版統一

2025-09-03

中国交通鉄道