上海軌道交通、移動時間に応じて運賃が決定?15分で5元の“速着”課金は得か損か?
時は金なり、駅構内が“値切り所”になる?
「早く着くと高くなる」──そんな新制度が、上海の地下鉄に導入される見通しだという。背景にあるのは市域鉄道と地下鉄路線の乗り換えだ。時間を価値と見なす運賃体系は、市民の移動だけでなく、駅のあり方までも変えていく可能性がある。
時間に値段をつける制度
事情通が行うネット投稿によると、かりに佘山(Sheshan:9号線)から景洪路までの所要時間が30分未満なら市域鉄道を利用したとみなされ、それ以上なら地下鉄のみで移動したとみなされる。中春路(9号線)で下車し市域鉄道に乗り換える場合の所要時間はおよそ15分で料金は11元。一方、桂林路(9号線)で地下鉄15号線に乗り換える場合は6元。30分をボーダーに5元の差額が生じるという。
5元の”速着”料金は高いか安いか?
所要時間が1分違うだけで5元が課金されるというのは割に合わないが、かりに15分の“速着”で5元の加算というのであればどうだろう。上海市の時給最低賃金が24元(2024年基準)であることに留意すると、この差額は妥当な水準かも知れない。(中国各地の「最低賃金」が更新、上海が首位、大連は5月に引き上げへ)
もちろん、高いと見るか安いと見るかは人それぞれの価値観の問題だ。東京、大阪、名古屋などの私鉄では「特快」「急行」「普通」の区別なく同一料金だと考えると、差額があること自体に疑義を示したくなる人もいるだろう。それでも、公共交通機関の利用料金が割高な日本と比べれば、市域鉄道の料金は良心的でリーズナブルな域ともいえそうだ。
🔗上海、空港間移動を40分に短縮!浦東・虹橋が新鉄道で直結!
ルールの“穴”とその利用法
その一方で、所要時間によって料金の高低が決まる制度には抜け道が存在する。市域鉄道を使って15分早く目的駅に到着しても、駅構内でしばらく時間をやり過ごしてから改札を出れば、5元分を加算されずに済むというわけだ。
さすがに無目的にむざむざ時間をつぶす人はいないだろうが、15分という時間は立ち食いスタンドで麺をすすって食べるにはちょうどいい。あるいは、上海南駅のように、「早い・安い・うまい」の代名詞たる吉野家が構内にある場合は、改札を出る前の消費が5元分のクーポン券に転化することに相当する。

駅は移動の場から“消費の場”へ!?
『上海市轨道交通线网规划(2025–2035)』によると、上海市は2035年までに1,643 kmの軌道交通網(うち地下鉄は1,000km強)を構築し、駅と都市機能を一体化(站城融合)させていく構想を掲げている。駅を生活・消費・雇用の拠点に据える「都市設計の再編」が進んでいるのだ。
駅はもはや単なる通過点ではない。人が「時間を使う」空間、すなわち商業・飲食・余暇の新しい拠点へと変貌している。時間に値段をつける制度は、利用客に「その時間をどう使うか」という問いを突きつけており、それぞれの価値観にもとづいた行動の選択を求められていくことになる。(編集:耕雲)
上海メトロの路線図(2025年度) 出所:上海メトロ公式サイト