第3代「鑑真号」が9月に旅客再開へ、訪中ビザ免除に期待
上海市と大阪・神戸を結ぶ第3代「鑑真号」が6月11日、大阪に初入港を果たした。当面は貨物輸送にとどまるが、9月から旅客業務の再開が見込まれている。大阪市は今年、上海市との友好都市締結50周年を迎え、来年は大阪万博開催を控える。新造船の就航を受けて、日中間の人の往来と物資輸送の活発化に繋げたいところだ。
「鑑真号」が就航、9月に旅客対応へ
上海と大阪・神戸を結ぶ定期フェリーとして新たに造船された「鑑真号」が6月11日朝に大阪に入港した(すでに出港)。以降、上海を土曜日に出港し、神戸と大阪に交互に月曜日に入港、火曜日に出港する予定が組まれている。一方、これまで同スケジュールで運航されていた「蘇州号」は12日(水)に上海に入港し、運航を終了する。
「鑑真号」は1985年に運航を開始した初代「鑑真号」、1994年に投入された「新鑑真号」に続く3代目だ。日中間の人的往来や物流の需要に応えてきたが、旅客輸送については新型コロナウイルスの感染拡大で停止されて以来、回復していない。同船を運航する中日国際輪渡によれば、上海の旅客ターミナルの改装工事が遅れていることを受け、当面は貨物輸送のみを扱う。旅客業務は9月に再開する見通しだという。
ビザなし渡航が可能になる?
日中間を結ぶ国際定期フェリーには、かつては「新・鑑真号」や「蘇州号」のほか、長崎―上海を結ぶ「オーシャンローズ号」、天津―神戸を結ぶ「燕京号」、青島―下関を結ぶ「理想国(ゆうとぴあ)」があった。しかし、次々と旅客業務は取りやめとなり、新型コロナウイルスの流行以降は日中間を運航する定期旅客船はゼロのままとなっている。そのため、中国が5月にクルーズ船による入国者に対するビザ免除措置を打ち出しても、日本人が恩恵を受けることはできず、蚊帳の外に置かれていた感があった。
中国のビザ政策が今後どうなるかは予断を許さない。しかし、「鑑真号」の旅客業務が再開することで、日本人にとっては中国渡航に選択肢が加わる。中国政府は2003年に日本人入国者に対する2週間のビザ免除を開始(※2020年春に停止)する以前、新鑑真号と蘇州号で日本人渡航者に向けて「船上ビザ」の手続きを代行していた経緯がある。
“タイパ”の悪さを補うメリット
「鑑真号」で大阪/神戸から上海に移動するには丸2日かかると聞けば、人によっては“タイパ(時間効率)”が甚だ悪いと受け止めるかも知れない。さらに、船が外海に出るとインターネットから完全に遮断される時間帯もある。一時たりともネットから離れたくないという人にとっては、こうした環境は堪えられないことだろう。それに渡航コストでもLCCや格安渡航券のほうがお得感がある。
しかし、中国の国慶節など長期休暇シーズンに入ると事情は一変する。航空券の料金が通常期の何倍もの水準に跳ね上がることから、定期フェリーのコストパフォーマンスがぜん光ってくる。以前の料金体系が踏襲されるとしたら、片道単位で購入でき、1年間オープンで復路半額のディスカウントを享受できるはずだ。また、受託手荷物や船室持込手荷物の許容重量が多く、オーバーチャージを心配する心配がない点もメリットとして挙げられる。(編集:耕雲)
参考