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2025-08-04

アップル中国V字回復、その原動力は“国補”頼み?成長神話は再び描けるか

中国




🎧️アップル中国V字回復、その原動力は“国補”頼み?成長神話は再び描けるか

2025年夏、アップルが発表した第3四半期決算の売上高は940億ドル、前年同期比9.6%増――これは2021年以来最大の四半期増益であり、iPhoneの累計販売台数も30億台を突破した。しかし、中国市場ではシェアが低下。AI主戦場で遅れが指摘され、「第二の成長神話」の構築に不確実性が指摘されることもある。

iPhone累計売上30億台を達成

アップルは永劫に輝き続ける“テック巨人”なのか。それとも、新しい時代の潮流のなかで、かつての光沢を失いかけているのか――。2025年夏、アップルが発表した第3四半期決算は、実に興味深いデータに満ちている。売上高940億ドル、前年同期比9.6%増――これは2021年以来最大の四半期増益であり、同社が持つ底力の証左とも言えるだろう。iPhoneの累計販売台数は30億台を突破し、まさに歴史的な節目を迎えた。


“強いアップル”の虚実

iPhoneは未だアップルの屋台骨を支える存在だ。第3四半期決算では売上高445.8億ドル、前年比13%増という驚異的な数字を叩き出した。CEOは「iPhone 16の人気が前モデルを上回った」と胸を張る。Macの売上も順調、サービス部門は過去最高を記録し、粗利率70%超という高収益モデルが盤石に見える。

だが、華やかな業績の裏側も冷静に見つめる必要がある。表層的な好調さの奥に、次なるリスクの芽が潜んでいる。


中国市場の「復活」は本物か

アップルの大中華圏の売上高は153.7億ドルで、数四半期ぶりの増加に至ったが、事は決して単純ではない。そもそも売上増加は中国政府の補助金(国補)による値下げと「618セール」に依るところが大きい。補助金頼みの回復は、あくまで一時的なテコ入れ策に過ぎず、実際、アップルの中国スマホ市場におけるシェアは13.9%にまで落ち込み、順位は5位に沈んでいる。

一方、「国潮」と呼ばれる中国国産ブランドを"推す”トレンドが浸透する中、ファーウェイが新機種攻勢で1位を奪還し、OPPO、vivo、シャオミ(小米)も続々とエコシステム競争、技術革新で包囲網を狭めている。

アップルのブランド神話はかつての“絶対王者”から、いまや本土ブランドに押される“チャレンジャー”へと変貌しつつある。単なる売上数字以上に、グローバル消費市場の地図がパラダイムシフトを示している象徴だといって良い。


AIで“主役交代”の波に抗えるか

さらに重要なのは、AI時代への適応である。ティム・クックは「AIは一生に一度の技術革命」と強調し、2025年だけで7社のAI企業を買収したという。秋に登場予定のiPhone 17シリーズにはAI機能が本格搭載される見込みだ。しかし、MetaへのAI基盤チームの大量流出や、Google、Metaが先行するAI投資額との格差は埋まっていない。

表面的な“意欲”ではなく、実効的なイノベーションを打ち出せなければ、アップルの成長神話はAI時代において色褪せかねない。現実に、製品毎の「ワクワク感」は減退し、“値下げとプロモーションで支える成長”へと変質しているのだ。


揺らぐサプライチェーン、コスト圧力も

米中貿易摩擦がもたらす関税コストも看過できない。今期だけで8億ドル、来期は11億ドルに達する。組立拠点をインドへ移す計画も、品質・コストの両面で中国並みの水準には遠い。かつての“世界標準”アップルサプライチェーンが揺らぎ始めている。

2025年8月9日には、中国本土で最初のアップル直営店だった大連百年城アップルストアにが正式に閉店する。「ショッピングセンターの集客減」が表向きの理由だが、実際には現地消費環境の変化、オンライン・オフライン融合戦略への転換、現地マーケティングの修正の一環と見られる。(🔗アップルが中国初の直営店閉店へ:ファーウェイ躍進で市場シェア5位に転落


「成長神話」か「成熟の罠」か

それでも、ウォール街やバークシャー・ハサウェイはアップルへの信頼を捨てていない。ブランド、キャッシュフロー、ユーザーの忠誠心――確かに強みは今も色褪せていないからだ。

しかし、それだけで“次の10年”が約束される時代ではない。持続可能な成長は、政策やプロモーションに依存した“即効薬”では決して達成できない。AIによる新しい価値の創出、世界市場の分断を乗り越える適応力――これらを自ら実装できるかどうかだ。まさに今、アップルは「成長神話」か「成熟の罠」か、その分岐点に立っている。(編集:耕雲)


(※)表紙画像および音声データはAIで作成しました



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