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2025-08-07

「無印良品」商標めぐる攻防、24年間の法廷闘争に節目:



無印良品商標めぐる攻防、24年間の法廷闘争に節目

中国と日本の企業間で24年間続いた「無印良品」商標争奪戦が、中国最高人民法院の裁定により一つの節目を迎えた。57件の訴訟案件が物語る、複雑な攻防の経緯を見ていこう。

証拠主義が決定づけた経過の分かれ道

2025年、中国最高人民法院は「無印良品」商標に関する重要な裁定を下した。この裁定により、中国企業である北京棉田紡織品有限公司の商標権が最終的に確定されることとなった。

争いの発端は2001年に遡る。中国国内企業が「无(無)印良品」商標を登録し、後に北京棉田に譲渡された。これに対し、日本の良品計画は2004年から継続的に法的手段に訴えたが、決定的な証拠を提示することができなかったと目される。

法廷で争点となったのは、中国企業が商標出願を行った2000年4月6日以前において、日本企業が中国大陸で商標を使用していたか、あるいは一定の影響力を有していたかという点だった。しかし、良品計画側はこの立証を充分に行うことができず、結果として中国企業の商標権が認められた。

商業規模と法的適合性が勝敗決める

北京棉田の勝利は、単なる先願主義の結果ではない。同社は家庭用繊維製品分野において大規模な事業展開を行っており、オンライン・オフライン合わせて多数の店舗を運営している。

さらに重要なのは、同社の商標申請と使用がすべて法的規範に準拠していた点である。これらの実績が、法廷での正当性を裏付ける決定的な要素となった。

一方、日本の良品計画も決して劣勢におかれてきたわけではない。同社は中国においてほぼ全分野にわたって商標を登録しており、第24類(繊維製品)以外では強固な権利基盤を築いている。

複雑に分割された商標権の現状

現在の商標権の帰属状況は極めて複雑だ。北京棉田が第24類(繊維製品)の「無印良品」商標を保有する一方、日本の良品計画はその他のほぼ全分野で商標権を有している。

この状況は、両社の間で激しい法的攻防を生み出している。北京棉田は良品計画の一部商標について「3年間不使用」を理由とした取り消し申請を行った。一方、良品計画は北京棉田を商標侵害や不正競争で訴えるという、まさに目には目をの激しい戦いをを繰り広げてきた。

特筆すべきは、第35類(サービス分野)商標に関する判決である。この事案では、裁判所は北京棉田側の不正競争を認定し、傘下企業に「無印良品」文字を削除するように命じた。これは、商標争いが企業の事業活動そのものに直接的な影響を与えていることを示している。

中国では、24類以外の「無印良品」の商標はほぼ全て良品計画が所有すると言われる

57件の訴訟が示す仁義なき攻防

2014年から現在まで、両社間の訴訟件数は57件に達している。これらの案件の大部分は、商標の許諾、権利確認、侵権、不正競争に関するものである。

注目すべきは、両社が頻繁に原告と被告の立場を入れ替えていることである。これは、それぞれが相手方の弱点を見つけては法的手段に訴えるという「攻守交代」の戦術を物語っている。

この継続的な法的争いは、単なる商標権の問題を超えて、両社の事業戦略の根幹に関わっている。法廷での勝敗が、直接的に事業展開の可能性を左右するからである。

消費者混乱という最大の副作用

この商標争いが最も深刻な影響を与えているのは消費者である。両社の店舗デザイン、サービスイメージ、販売商品があまりにも類似しているため、多くの消費者が混乱を感じている。

ソーシャルメディアでは「どちらが正規品でどちらが模倣品なのか判別できない」という声が相次いでいる。この混乱は、消費者の購買意欲を削ぐだけでなく、ブランドに対する信頼性にも悪影響を与えることになりかねない。

実際、多くの消費者が「無印良品」と聞いて連想するのは日本の良品計画である。ところが、中国国内の店舗で北京棉田の商品を購入している可能性は高い。この認識のギャップが、消費者の困惑を一層深めている。

消費者に提示された識別方法

中国で両者のブランドを区別する方法は存在する。北京棉田の店舗では、中国語で「無(无)印良品」と単独で表記されているか、時に「Nature Mill」という英語表記が併記される。

一方、日本の良品計画は「無印良品」という漢字を単独で使用することが中国では禁じられている。「MUJI」という表記を添える必要がある。

法的観点から見ると、両社には消費者の混乱を回避する義務がある。消費者の知る権利を保障するため、製品、包装、宣伝材料において、自社ブランドの出所と他社との相違点を明確に表示する責任を負っている。

◉「無印良品」商標をめぐる紛糾の過程:

  • 2000年4月6日
     海南南華実業貿易公司が「無印良品」商標の登録を申請
  • 2001年
     商標が正式に登録され、日本の良品計画が異議申し立てを行う
  • 2004年
     商標が北京棉田紡織品有限公司に譲渡される
  • 2005年
     良品計画が中国本土に初の店舗を開設
  • 2014年〜2024年
     両社間で累計57件の訴訟が発生。内容は商標の使用許可、権利確認、侵害など多岐にわたる
  • 2025年
     中国最高人民法院が北京棉田の商標の合法性を維持する判決を下す

知財めぐる攻防に終わりなし

最高人民法院の裁定が出たとはいえ、この争いが完全に終結する可能性は低そうだ。両社ともに巨大な利益が関わっており、新たな法的手段を模索することも想定される。

この事案は、グローバル化が進む現代において、知的財産権の重要性と複雑さを浮き彫りにしている。企業にとっては商標戦略の重要性を、消費者にとってはブランド識別の必要性をそれぞれ示す典型的なケースとなっている。

今後、類似の争いを避けるためには、企業の早期の商標登録戦略と、消費者の商標制度に対する理解向上が不可欠になってくる。この24年間の攻防は、現代商業社会における知的財産権の複雑さを象徴する事例として、長く記憶されることになりそうだ。(編集:耕雲)


▷情報ソース:

  • 中国最高人民法院公式発表(2025年)
  • 裁判文書網データベース(2014-2025年)
  • 両社公式発表資料
  • 商標法専門家分析レポート(2024年)

※本記事は公開情報に基づいて作成されており、法的助言を目的とするものではありません。







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