香港が生活コスト番付で“3連覇”、東京は50位圏ギリギリ、上海は?
マーサー(Mercer)が発表した「Cost of Living Survey(生活コスト調査)」の2024年度版レポートによると、香港特別行政区が3年連続で世界で最も生活コストの高い都市となった。香港の生活コストの高さは「北上消費」の傾向を強めている。なお、ランキングでは、上海と北京が順位を下げ、上海は23位、北京は25位となっている。東京は49位と、50位以内をかろうじて保ったものの、昨年の19位から大きく順位を下げた。
“3連覇”の香港、“北上消費”へ
香港特別行政区政府の公表資料によると、2023年5月から2024年4月までの間に、香港居住者の出境者数はのべ約7,461万人、中国本土からの来港者数はのべ約2,820万人であった。多くの香港居住者が消費活動を目的として中国本土の都市、特に深セン市などを訪れる「北上消費」の傾向が濃厚にななっている。香港では2024年3月の小売売上高が前年同月比で16か月ぶりにマイナスとなり、その後もプラスに転じていない。
こうした中、組織・人事等のグローバルコンサルティングファームであるマーサー(Mercer)が「Cost of Living Survey(生活コスト調査)」の2024年度版を発表した。それによると、香港は3年連続で生活コストが世界一高い都市となっている。この調査は国際的な従業員の給与設定や経済調査を目的として、世界の都市の生活コストを把握しようとしたもので、住居、交通、食料、衣料品、家庭用品、娯楽などの分野が対象に含まれる。今年は世界226都市の生活コストについて、卵1ダース、オリーブオイル1リットル、エスプレッソコーヒー1杯の価格等の細部にも渡る200項目に調査が及んだとされる。
東京は50位圏スレスレ
レポート結果を元にしたCNNサイトの報道によると、香港に続いてシンガポールが2位に付け、チューリッヒ(3位)、ジュネーブ(4位)、バーゼル(5位)、ベルン(6位)と続いた。前回の2023年版と比べると大きな変動が見られたのは11位以下で、たとえば昨年19位だった東京が今回49位にランクダウンした。中国本土の都市も順位を落としており、上海が前回調査の12位から23位に、北京が13位から25位にそれぞれ順位を下げている。
2015年のレポートでは、5位に上海が付けていた
なお、トップ10にランクインした都市は以下の通りである。
香港特別行政区
シンガポール
スイス、チューリッヒ
スイス、ジュネーブ
スイス、バーゼル
スイス、ベルン
米国、ニューヨーク
英国、ロンドン
バハマ、ナッソー
米国、ロサンゼルス
生活コスト番付は他にもある
世界の各都市の生活コストに関するレポートには、マーサーの「Cost of Living Survey(生活コスト調査)」のほか、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の「Worldwide Cost of Living Survey」、シンガポールのECAインターナショナル(ECA International)の「Cost of Living Survey」、ドイツ銀行(Deutsche Bank)の「Mapping the World's Prices」などがある。
これらのレポートはデータの収集方法やコンセプトの差異から、導き出される順位がマーサーのものとは異なってくる。当公式アカウントでもEIUとECAインターナショナルのレポート結果について紹介したことがあるのでリンクを添えておこう。
【ECA】上海13位、駐在員の生活費用調査で中国各都市の順位下降|邦人NAVI 邦人NAVI 2023-06-08 【EIU】東京はトップ10圏外、世界で最も“生活コスト”が高い都市はどこ?|邦人NAVI 邦人NAVI 2022-12-16 21:05
東京と上海、何が高く何が安い?
このほか、ユニークなプラットフォームに「ナムベオ(Numbeo)」がある。ユーザー参加型のデータ収集を行い、世界各国の物価水準や交通費、医療水準、犯罪率、環境汚染などをデータベース化しリアルタイムの情報提供しているサイトだ。創設者はセルビア出身のMladen Adamovic氏で、Googleでソフトウェアエンジニアとして働いていた経歴を持つ。
同サイトでは、異なる都市同士で生活コストを比較し、簡単な分析レポートを瞬時に表示することもできる。たとえば、上海と東京を比較すると以下のようなサマリー表示がある。
上海の生活費は東京より31.0%安い(家賃負担含まず)
上海の家賃込み生活費は東京より22.0%低い
上海の家賃は東京より3.6%安い
上海のレストランでの費用は東京より28.8%安い
上海の食料品価格は東京より35.3%安い
上海市の購買力は東京より14.6%低い
ただ、細部を見ていくと、育児のように上海が東京を圧倒している項目もある。育児や教育のために海外移住を検討する父兄が中国に少なくない事情も理解できるだろう。
上海の住宅費の高さが歴然
「ナムベオ(Numbeo)」では、任意の都市の生活コストを同じ国内の都市と比較することもできる。とりあえず上海市と大連市を比較してみると以下のサマリーが表示された。
上海の生活費は大連より22.0%高い(家賃負担含まず)
上海の家賃込みの生活費は大連より72.2%高い
上海市の家賃価格は大連市より335.3%高い
上海のレストランでの費用は大連より6.7%高い
上海の食料品価格は大連より22.4%高い
上海市の購買力は大連市より38.5%高い
交通費では東京より安いとされる上海だったが、大連と比べると色を失う。さらに家賃水準となるとその差は歴然となる。
以上見てきたデータは実際にその地で居住している人にとっては、肌感覚とのズレがあるかも知れない。それでも他の信頼性の高い情報源と併せて比較していくなかで、より確かな各都市の実態がつかめてくることだろう。(編集:耕雲)
参考
【真实的香港】2024年全球最高生活成本城市 | 香港连续三年高踞榜首 新加坡第二|Original 霖妈在香港 霖妈在香港 2024-06-17
香港居民の北上消費が増加、来港者の消費パターン変化で香港の小売業に課題も(中国、香港) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (jetro.go.jp)
外国人の生活費ランキング、トップは香港 - CNN.co.jp