日本の食卓を揺るがす?うなぎ取引規制案の行方

🐟 全ウナギ規制案が食卓直撃!?
欧州連合(EU)は2025年6月、すべてのウナギ(Anguilla属)をCITES附属書IIに加える提案を決定した。11月24日〜12月5日にウズベキスタン・サマルカンドで開かれるCITES第20回締約国会議(CoP20)で審議され、採択されれば2027年6月に施行される見通しだ。最大消費国の日本と最大輸出国の中国は、食卓と産業の双方に制度リスクが波及する局面に立たされている。
国際規制の動きと背景
CITES(ワシントン条約)は野生生物の国際取引を管理する枠組みで、対象種を附属書I〜IIIに区分する。附属書IIは「直ちに絶滅危機ではないが、無規制の取引で将来的に危機となり得る種」や「附属書Iに類似し誤認されやすい種」を対象とし、輸出時に科学的審査と許可証を義務づける(取引自体は可能)という位置づけである。
今回EUが提出したのは、ニホンウナギを含む全18種のAnguilla属を一括で附属書IIに加える案だ。欧州ウナギはすでに附属書IIに組み込まれており、2009年の掲載後、EU域外との取引は2010年以降禁輸となっている。
欧州ウナギの資源状況
1980年代比で九割超減とされ、管理強化の国際的な流れが背景にある。
| 附属書 | 対象となる種 | 国際取引の扱い |
|---|---|---|
| 附属書I | 絶滅の危険が非常に高い種 | 原則禁止(ごく例外のみ許可制) |
| 附属書II | 将来絶滅のおそれ/I類似で誤認懸念 | 輸出国の科学的審査+許可証が必須(取引は可) |
| 附属書III | 一国が自国保護のため国際協力を要請 | 証明書による協力的管理 |
日本の立場:文化と供給安定のはざまで
日本は世界消費の約3分の2を担う最大市場である。土用の丑の習俗や、うな重・ひつまぶしは食文化の核である。一方、IUCN(International Union for Conservation of Nature=国際自然保護連合)はニホンウナギを絶滅危惧に分類しており、国内でも管理強化が続く。
日本では2023年12月以降、無許可のシラスウナギ採捕・流通に対し「懲役3年または3,000万円以下の罰金」を適用する厳罰化が導入された。規制が国際的に強化されれば、輸入の手続き・証明コストは増し、輸入国側では品薄と価格上昇圧力が生じやすい。
中国の立場:輸出依存型産業の再設計
中国は世界最大の輸出国で、日本が最大の輸出先である。報道ベースでは、2022年に6,600トン超/約1.5億ドルの対日輸出があったとされ、2024年の日本側統計ではうなぎ(特に蒲焼など加工品)輸入が22,001トン(前年比+22.1%)に達したとされる。
規制が発効すれば輸出許可や科学的審査のコストが増大し、輸出が滞れば輸出国の現地在庫が積み上がり価格が下落、雇用にも負の影響が及び得る。一方、輸出が順調でも審査コストは最終価格に転嫁されやすい。中国の養鰻は地方経済の雇用を支える基幹産業であり、安定輸出の設計が急務である。
地域協調の経緯と今後の着地点
日本・中国・韓国は2014年の共同声明で、2014–15シーズンの養殖池への稚魚初期投入量を2013–14比80%以下に抑える上限を導入し、その後も継続的に管理してきた。
今後は、附属書IIで要求される「非危険証明(NDF)」の整備、トレーサビリティの高度化、種判別の迅速検査体制といった、科学的・事務的な実装力が競争力そのものになる。地域協調の枠組みを、国際審査に耐えるデータと手順へ格上げできるかが鍵である。
価格とサプライチェーン:誤解なき整理
規制が発効すれば、輸入国(日本)では供給制約と事務コスト転嫁により消費者価格は上昇しやすい。一方、輸出国(中国)では輸出許可の遅滞や不許可が広がると在庫滞留で現地卸価格が軟化し得る。
重要ポイント
「一律に上がる/下がる」ではなく、立場で力学が異なる。企業は多角的な視点でのオペレーション再設計が不可欠。
企業は、①仕向け別の価格弾力性、②許認可・検査のリードタイム、③在庫持ちコストと与信、④サステナブル認証のプレミアム、を織り込んだオペレーション再設計が不可欠である。
ビジネス上の実務対応
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📱 WeChat公式アカウント配信用 | 📅 2025年9月4日

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