❖精算業務にスマート対応
龍陽路駅11号口に設置された"スマートサービスセンター"は、二つの大型画面を備えた端末である。乗車券の券面確認、駅内案内、イレギュラー対応の機能を一台に集約している。①乗り越し時の精算、②各種無料乗車証(40種類超)の認識、③きっぷの紛失・破損時の対応といった、駅内で発生しがちな三つの"行列原因"を解決するソリューションだ。
サイドゲート(専用レーン)の処理時間:平均3.5分 → 1.2分へ短縮
自動精算機能では、乗車コードや交通カードをデバイスにかざすと不足額を即時表示し、非接触決済でゲートの解錠まで一気通貫に処理する。無料運賃の対象者(身長が1.3m未満の児童等)はデバイスの所定場所に証明書を置けば良く、必要に応じてオペレーターが遠隔で承認する。

❖行列を減らし、安全性を向上へ
この駅内業務のアップデートは、親子連れや高齢者にとって実益が大きい。上海メトロでは、身長1.3m以下の子どもの運賃が無料になるが、通行するにはこれまで係員を探して専用レーンを開けてもらう必要があった。それが今後は端末前で手続きが完結する。改札を一緒に通る際にドアに挟まれたり、転倒したりするリスクも大きく軽減する。
無料で乗車できる人:上海地下鉄と東京メトロの比較
| 区分 | 上海地下鉄(2025年時点) | 東京メトロ(2025年時点) |
|---|---|---|
| 幼児・児童 | 身長1.3m以下は無料(大人同伴)。 2025年改定で同伴人数の文言を見直し。 ※改札通過は証明提示や端末操作が必要。 | 未就学児は無料(同伴2名まで)。 6〜11歳は小児運賃。1歳未満は乳児として無料。 |
| 障がい者 | 手帳等の制度優待あり(交通全体の枠で運用)。 地下鉄単独で「一律無料」とする明確規程は公開情報上では未確認。 | 第1種の本人+介護者1名は運賃半額(IC可)。 無料制度はなし。 |
| 現役軍人・消防等 | 現役軍人・部隊文職・消防は無料対象(証明書提示)。 交通機関横断で整理された優待枠に基づく。 | 東京メトロ独自の無料制度なし。 |
| 高齢者 | 地下鉄の一律無料制度は廃止済み。 SNS等の「オフピーク無料」は公式に否定。 | 無料制度なし(自治体の福祉乗車証は別制度)。 |
| 注:適用には各社の最新告知・駅掲示・証明書提示が必要です。マグレブ(上海磁浮)は一部条件が異なる場合があります。 | ||
参考出典:上海メトロ「乘客守则」2025年改定/各社公式案内(東京メトロ:小児・幼児・障がい者割引)。
コンサートや展示会等のイベントが開催され、多くの人々が駅に殺到する際には、"先に入場・出口で精算"という運用が可能になる。行列をつくらないシステムの構築は安全確保のための投資であり、混雑時の利用者誘導の際でも係員たちに余力を生むメリットがある。係員たちは本当に助けが必要な人に速やかなサポートを行うことが可能になるわけだ。
❖自動化で"人を難所に寄せる"
このシステムの正式運用が始まった龍陽路駅は地下鉄2・7・16・18号線とマグレブ(リニア)が乗り入れるハブ駅である。1日あたりの利用者数は平均25万人を超える。従来の窓口には、運賃・乗換・施設案内といった作業が集中し、ピーク時には説明待ちの乗客で長い行列ができた。
1日あたり70〜80件が端末での処理にシフトした。定例業務が自動化されたことで現場工数は6割以上削減できる見込みだという。ただし、人員の"削減"ではなく再配置をねらいという点に目を向けるべきだろう。端末が定例業務を担うことで、係員は複雑事案の対応や安全誘導に専念できるようになる。
❖検索・VR・乗継動線まで
このように龍陽路駅では、「使いやすさ(UX)×運用(遠隔体制)×混雑耐性(BCP)」の三位一体での改革が行われた。多機能案内端末やVRの実景ナビも稼働している。トイレやエレベーター、最寄りの出口、展示会場(新国際博覧中心)への歩行ルートが可視化され、駅利用者が直面する"どこへ行けばよいか"という迷いが大幅に減少することになった。
高齢者や障がいのある人が利用しやすいように端末の画面デザインも工夫された。フォントサイズ、音声案内、コントラスト、呼び出しボタンの見つけやすさにも最適化が行われているという。誰一人取り残さず手を差し伸べていくデジタル化がコンセプトに置かれているとされる。
運賃・証明・イレギュラー対応をその場で完了させ、行列の発生を未然に断つ龍陽路駅の「スマートサービス」。"行列ができない地下鉄駅"を都市のスタンダードに変えていけるかどうかの大きな試金石と見なされている。入場時セキュリティーチェックでの行列解消にも期待したいところだ。一方、龍陽駅におけるマグレブとの乗継動線については少しハードルが高そうだ。(編集:耕雲)



