欧米に追いつけ!? 「昭和」から据え置き中の訪日ビザ申請料が来年値上げへ


欧米に追いつけ!? 「昭和」から据え置き中の訪日ビザ申請料が来年値上げへ
1978年以来据え置かれてきた訪日ビザ申請料が改定される見通しだ。日本政府は2026年度をめどに“欧米並み”の水準へ引き上げも検討していると言われ、厳格化された「経営・管理ビザ」と併せ、“量から質”への転換を図るインバウンド政策の転機となりそうだ。【附語音】追趕歐美!? 自「昭和」以來凍結的赴日簽證申請費明年將調漲
❖訪日ビザ手数料の値上げ構想と背景:
日本経済新聞など大手メディアの報道によると、日本政府が2026年度にも訪日ビザ(査証)申請手数料を欧米並みの水準に引き上げる方針を検討している。インバウンド需要の急増により発行コストが膨らみ、物価上昇を反映する必要があるほか、観光公害(オーバーツーリズム)の抑制にも一定の効果を見込むと報じられている〔[1]〕。

これに先行して、在留資格「経営・管理ビザ」の許可基準も2025年10月16日から厳格化された。これは、実体のない会社設立や短期での事業撤退を防止し、質の高い起業家を誘致することで、日本経済への実質的な貢献を促すことを目的としている〔法務省告示より〕。量から質への転換を目指す日本の外国人受け入れ政策が、短期観光の分野にも及んできたと見ることもできそうだ。
❖海外メディアも注目――改定されれば1978年以来:
日本経済新聞によれば、政府は2026年度にもビザ申請手数料を欧米水準に引き上げる方針を固め、引き上げ幅は主要7か国(G7)やOECD加盟国の水準を参考に、関係省庁間で協議のうえ決定する見込みである〔[1]〕。各報道によると、外務省は2025年度中にもパブリックコメントの募集を予定しており、制度改正は政令改定を経て正式に実施されると見られているが、現時点では詳細な発表はない。

海外メディアもこの動きに注目している。「Tokyo Weekender」や「bt Business Today」等は、日本のビザ手数料が1978年(昭和53年)から据え置かれており、現行ではシングルエントリービザが約3,000円、マルチエントリービザが約6,000円であると報じている。これはG7やOECD諸国と比較して著しく低水準であり、2026年度には欧米並みの料金帯への引き上げも想定されると伝えている〔[2]〕。
❖訪日ビザの種類と料金概要――世界における立ち位置:
外務省の公式資料によると、日本の査証手数料は以下の通りだ〔[3]〕。欧米諸国と比べ低く抑えられている〔[2]〕。
| ビザの種類 | 手数料(日本円換算・目安) |
|---|---|
| 一次有効査証 | 約3,000円 |
| 数次有効査証 | 約6,000円 |
| 通過査証 | 約700円 |
❖市場への影響――価格シグナルと制度改正の同時進行:
ビザ手数料の値上げが訪日観光市場に及ぼす影響は限定的とみられるが、低価格志向の団体旅行層に対しては一定の抑制効果をもたらすとの見方もある。一部では訪問者数を10〜20%減少させる可能性を指摘する声もあり、観光流入の質的転換を促す契機になると分析されている〔[4]〕。

さらに、オーバーツーリズム対策として免税制度の大幅改正も進行している。2026年11月1日からは、訪日外国人旅行者向けの消費税免税制度が「購入時免税」から「リファンド方式(税還付方式)」へと変更される予定だ〔[6]〕。旅行者は購入時に税込価格で支払い、出国時に税関で承認を受けた後、指定方法で還付を受ける仕組みとなる。この変更により、免税店での包装要件や品目区分が簡素化され、国内転売防止や不正利用抑止が期待されている。
❖日本人にも負担増、“アウトバウンド”離れ加速か!?
一方で、政府は出国時に徴収する「国際観光旅客税(出国税)」の現行1,000円を3,000円程度に引き上げる案も検討中である。徴収対象は外国人だけでなく日本人も含まれるため、海外渡航コスト増加が懸念される。増収分は高校無償化の財源に充てる構想が浮上しており〔[7][8]〕、家計負担と政策目的の両立が今後の焦点となる。
なお、パスポート保有率は現在約17%と過去最低水準にあり〔[9]〕、出国税引き上げがさらなる渡航意欲の減退を招く可能性も否定できない。日本が“インバウンド立国”としての方針を進める一方、国民の「アウトバウンド離れ」が加速する皮肉な構図が浮き彫りになっている。(編集:耕雲)
参考図表:各国“短期観光ビザ”の手数料比較(2025年10月時点)
| 国名 | ビザの種類 | 自国通貨 | 米ドル換算(概算) |
|---|---|---|---|
| 日本 | 一次有効査証 | 約3,000円 | 約20ドル |
| 英国 | Standard Visitor | £127 | 約155ドル |
| 米国 | Visitor (B1/B2) | $185 | $185 |
| フランス | Short Stay | €90 | 約97ドル |
| 中国 | Single Entry(第三国籍例) | 2,000 INR | 約24ドル |
| 台湾 | Visitor Visa | US$50 | $50 |
| タイ | Tourist Visa (TR) | USD 40 | $40 |
| インド | e-Tourist Visa (30日) | USD 25 | $25 |
※中国のビザ手数料は国籍や申請地によって異なるため、ここでは第三国籍申請者(インド申請センター)の例を示している〔[5]〕。
参考文献
- [1] 日本経済新聞(2025/10/16)「訪日ビザ手数料、『欧米並み』へ値上げ インバウンド拡大で政府検討」
- [2] Tokyo Weekender(2025/10/21)"Japan To Increase Visa and Tax Fees for Foreign Visitors"
- [3] 外務省「査証手数料」https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tetsuzuki/tesuryou.html
- [4] 読売新聞(2025/10/20)「政府が外国人訪日ビザ値上げ検討か 出国税3倍の欧米並みも 高校無償化財源にする案」
- [5] Chinese Visa Application Service Center(デリー)"Visa Fees"
- [6] 国税庁(2025/9/1)「免税制度改正に関する案内」/Smart Detax(2025/9/1)「2026年免税制度改正 リファンド方式の最新概要」
- [7] 朝日新聞(2025/10/17)「出国税やビザ発行の値上げ検討 外国人負担増、高校無償化の財源に」
- [8] Yahoo!ニュース(2025/10/20)同上配信記事
- [9] AERA.dot(2025/8/11)「パスポート保有率、約6人に1人の17%——海外に出ない日本人の増加とアンバランスの弊害」
