「紙」が消えた中国高速鉄道、若者層の"体験"重視のサービス続々

「紙」が消えた中国高速鉄道、若者層の"体験"重視のサービス続々

紙券の終幕と電子発票の定着

2025年10月1日から、中国の鉄道旅客分野では「报销凭证(精算用控え)」と呼ばれる紙の領収書の発行が停止し、電子発票(電子インボイス)へ全面移行した。2024年11月からの移行期間を経て、購入・乗車・精算が鉄道オンラインサービス・アプリ「12306」で一体化したのである。ただし、旅程情報の印刷や高齢者向けの窓口対応は継続される。紙への愛着も残る中、効率化と環境配慮を両立するこの変化は、鉄道がデータ中心のサービスへと進化した象徴だ。
深圳「高鉄パス」の実利と反響

広東圏では回数券(計次票)/定期券(定期票)が広州・香港・潮汕・贛州へ拡充され、予約~改札まで12306で完結、コード/身分証のスキャン(“刷証”)による入場が標準化した。深圳—広州東では、「月4180元が60回/30日定期で2367元に、月1813元節約」というネットユーザーの投稿が注目を集めた。行政発表の節約試算(30回で596元、60回で1813元)とも一致し、価格+手続きの摩擦低減が通勤や短期出張を後押ししている。
連携の「段階」と制度の継ぎ目
オンライン化の流れは日本も同じだ。紙回数券の縮小を経て、スマートEXやe5489(JR西日本のネット予約)などネット予約中心に移行しつつある。ただ、JR各社は長年の独立運営の名残で予約・決済・割引が事業者境界で分断されがちだ。まずは2025年10月4日からEX×e5489の相互ログイン(SSO)が先行しているが、本格的な連携は2026年度中(EX×e5489)、その他は2027年度以降の段階的な導入が想定され、「全国一体」の実感が得られるまでには、なお時間がかかりそうだ。
金券ショップという旧来動線
新幹線の格安券は、将来日付の回数券をばらして販売する形が一般的になっている。利用時には自由席であっても日付変更が必要になる場合が多い。日付変更の手続きはみどりの窓口で行えるが、ラッシュ時は窓口で数十分待ちというのも珍しくない。10~15%程度の節約と引き換えに生じる時間コストをどう評価するかは、人によって判断が分かれることだろう。
新幹線の定期は中国高鉄の倍額以上
東京—三島(約137km)は深圳—広州東(約139km)におおむね相当するが、FREX(自由席)は1か月9万3,930円/3か月26万7,690円。指定席を使う際は別途特急料金が必要だ。他方、中国は席別固定+予約確保/余席条件で柔軟に運用し、定期・回数・返金条件の組み合わせで総コストを抑えやすい。価格だけでなく、変更・払い戻しの摩擦まで含めた設計の差が、移動の心理的ハードルを左右する。
若者優遇で需要を掘り起こす

中国国家鉄路集団は2025年10月20日から14〜28歳に額面10倍ポイント(通常の2倍)を付与し、乗車中に座席QRを読み取り、または車掌に申請することで当日のアップグレード(「升席」)が可能になった。価格だけに固執しない柔軟な設計が、若年層の移動需要を継続的に押し上げていく。(編集:耕雲)
参考情報
- 中国新聞網「纸质火车票正式退出历史舞台」
https://www.chinanews.com.cn/gn/2025/10-20/10181872.shtml - 中国铁路(官方微信)「高铁推出'计次票' '定期票'」
https://mp.weixin.qq.com/s/76XJ3O_K_x4Z4pspI6nGgw - 中国铁路(官方微信)「铁路12306上线新功能——常旅客会员积分可升席!」
https://mp.weixin.qq.com/s/6HYoICZTtgkL-AetITuUOA - MTR 高速鐵路(特別票・跨境商品の案内)
https://www.highspeed.mtr.com.hk/ - JR東日本プレス:JR4社ネット予約連携・2025年10月4日 SSO先行/本格機能は26年度〜
- JR東海:FREX案内(価格例・制度定義)
- 鉄道コム・観光経済新聞等:東海道新幹線回数券の販売終了(2024年12月22日)・使用期限(2025年3月31日)
