円安に挑む日本の新札、一新された肖像画で未来へ
日本銀行は7月3日に新しい日本円紙幣を発行したが、円安の影響で新札の製造コストが上昇しているという。それでも、最新の偽造防止技術が導入された新札発行による経済効果への期待は大きい。中国のネットでも新たに肖像画に選ばれた人物に関心が寄せられている。
円安で製造コスト上昇
日本銀行は7月3日に約20年ぶりにデザインを刷新した新しい日本円紙幣を発行したが、円安の影響で新札の印刷コストが上昇しているという報道がある。日本の紙幣に使用される原料の大半が輸入に頼っているためだ。新紙幣に使われている用紙の原料であるミツマタ(中国語:結香)の約90%はネパールや中国から、アバカ(マニラ麻)はフィリピンからそれぞれ調達されている。
産経新聞の報道によると、円安の進行で原材料の輸入価格が上昇した影響を受けて、新紙幣の製造コストは旧紙幣に比べて1枚あたり約18円から約20円(約0.9人民元)に増加した。これは約1割の上昇にあたる。「すき入れ」(すかし)や「3Dホログラム」など最新の偽造防止技術を導入した“世界初”の紙幣であり、ユニバーサルデザインの向上も図られているため、製造コストの圧縮にはさまざまなハードルがありそうだ。
新札発行の経済効果は?
それでも、自動販売機、ATM、セルフレジなどの新機種への入れ替えやシステム改修など、新札発行による経済効果は小さくない。発行初日となった3日、紙幣3種類で計2億8000万枚、総額約1兆6000億円分が金融機関に引き渡された。新しいデザインや偽造防止技術が消費者マインドを刺激し、消費活動の活発化につなげたいところだ。
新札発行に際して毎回関心を集めるのが肖像画の変更である。新札のサイズは従来のものと変わらないが、肖像画には渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎が新たに採用された。最高額紙幣の一万円札に「近代日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢が選ばれた背景には、日本経済の復活を新札に託すメッセージが込められているかのようだ。
日本の紙幣に描かれている肖像画人物のリスト:Wikipedia(英)の情報を元に編集部で翻訳・加工
政治家の肖像画はなぜ消えた?
日本の紙幣の肖像画となる人物は、財務省、日本銀行、国立印刷局の三者で協議が行われ、最終的には財務大臣が選定するといわれる。『和を以って貴しとなす』で知られる聖徳太子が「銀行券の顔」となっていた昭和の時代では、板垣退助や伊藤博文、岩倉具視など明治維新を担った政治家も肖像画に選ばれてきたが、これらの人物が登場する紙幣の存在を記憶している人はもはや少数だろう。
世界に目を広げれば、今でも政治家が紙幣のシンボルとなるケースは珍しくない。例えば、米国ではジョージ・ワシントン(一ドル札)、エイブラハム・リンカーン(五ドル札)など、歴代の大統領が肖像画として登場する。しかし、日本では時代によって評価が変わる政治家を紙幣の肖像画にするのは適切でないという暗黙の了解があるかのようだ。
むしろ、文化人や学者の肖像画こそが国際的に日本のアイデンティティを示す上で重要な役割を果たすという認識が日本人の間で共有されている。デジタル通貨やブロックチェーン技術などの新しい潮流の中で、肖像画が一新された紙幣がどのように訴求力を発揮し、国内外に影響を与えていくのか注目される。(編集:耕雲)
参考
新紙幣の製造コストは1枚約20・4円 現紙幣より1割以上高く、新技術や原料高が主要因(産経新聞) - Yahoo!ニュース