日本円新紙幣発行で詐欺事件が続発、旧札の通用力を確認しよう
日本では7月3日に20年ぶりの新紙幣が発行されたが、早くも詐欺事件が発生している。高齢の女性が「古い紙幣を保管しておくと犯罪になる」と言われ約200万円をだまし取られた。このほかにも、さまざまな手口で市民の心理の弱みを突いた被害事例が複数報告されている。
新札発行で早くも詐欺事件
日本では7月3日に20年ぶりに新紙幣が登場したが、早速詐欺事件が発生している。2004年(平成16年)の新札発行の際も偽造旧札が出回る事件が発生したが、今回も人の心理の弱みにつけ込んだ手口が見られている。FNNプライムオンラインの記事によると、千葉県で70代の高齢女性が「古い紙幣を保管しておくと犯罪になる」と言われ、約200万円をだまし取られる事件が発生したという。
この詐欺事件は、郵便局員を名乗る男が「古い紙幣を保管しておくと犯罪になります。返すときに新しい紙幣に交換します」と嘘をつき、被害者から現金を騙し取ったものだとされる。警察は「旧紙幣が使えなくなる」といった詐欺に注意するよう呼びかけている。新札をめぐる詐欺事件には、このほかにも東京都内で80代と90代の計4人が約1500万円をだまし取られた事案があると産経新聞が報じている。
紙幣の通用力が喪失した3つの事例
日本銀行のホームページによると、法令に基づく特別な措置がとられない限り、一度発行された銀行券の通用力が失われることはない。銀行券の通用力がなくなった過去の例として以下の3回が挙げられる。
1)関東大震災後の焼失兌換券の整理(1927年、昭和2年)
2)終戦直後のインフレ進行を阻止するための新円切り替え(1946年、昭和21年)
3)1円未満の小額通貨の整理(1953年、昭和28年)
今回、詐欺被害に遭った高齢者には、とくに新円切り替えの記憶がトラウマとして残っていたのかもしれない。この非常措置は戦後の混乱期におけるインフレ対策として重要であったが、この政策によって財産を失った日本人は多い。
詐欺防止のための注意点
新札発行に伴う詐欺の手口はさまざまで、旧紙幣を新紙幣に交換するための手数料を要求するものや、紙幣の交換を口実に個人情報や銀行情報を盗む行為があり、いずれも高齢者がターゲットになることが多いとされている。
産経新聞の記事によると、「古い紙幣を振り込めば新しい紙幣に交換する」と銀行口座に振り込ませたり、「ATMで紙幣を使えるか調査を行っているので協力してほしい」といった手口で現金をだまし取る例がある。日本銀行はX(旧ツイッター)などのSNSを通じて、「預金封鎖」の可能性を吹聴する誤った情報を信じないよう呼びかけ、詐欺行為に注意を喚起している。デマの払拭と詐欺手口に対する警戒が求められている。
❖古代人物が採用された昔の紙幣
7月4日に配信したWeixin(微信、WeChat)公式アカウントの記事「🔗円安に挑む日本の新札、一新された肖像画で未来へ 」でも言及したように、日本では平成以降、紙幣の肖像画に政治家が採用されなくなった。しかし、時代を遡ると明治維新を担った政治家たちはもとより、古代の人物の肖像画も使われていた。
1円札に登場する武内宿禰(たけのうちのすくね|天皇の家臣として活躍した記紀伝承上の人物)は代表的なものだが、彼の肖像画は現存していない。Wikipedia等の情報によると、当時の印刷部長・佐田清次氏をモデルに、イタリア人画家エドアルド・キヨッソーネ(1833 - 1898)がデザインしたものが採用されたという。
なお、武内宿禰の肖像が描かれた1円札が法定通貨として使用可能であっても、1円の値打ちしか発揮できない利用方法は避けるべきだろう。むしろ古銭買い取り業者に査定を依頼し、引き取ってもらうのが得策であるのは言うまでもない。思いがけないプレミアムがつく可能性も期待できる。
(編集:耕雲)
参考
新紙幣発行は〝旧札〟に注意 詐欺や「預金封鎖」の陰謀論も、20年前には偽造事件 - 産経ニュース (sankei.com)
これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか? 古いお札を持っていますが、現在も使えますか?: 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)