中国のインバウンド市場が好調、144時間ビザ免除が生んだ『City不City』現象
昨年はまだ低迷していた中国のインバウンド市場が2024年に入り急速に回復している。ビザ免除措置の拡大や外国人の決済環境の整備が追い風となり、外国人旅行者数は今年上半期大きく増加した。外国人ブロガーが発信したショート動画に端を発した「City不City(city bù city)」現象は復活を遂げた中国観光市場を象徴するものとなった。
中国渡航の壁
昨年(2023年)の上半期に遡ると、中国のインバウンド市場はまだ厳しい環境に置かれていた。2023年1-6月の北京市の入境観光客数は40万7,900人で、これは2019年全年の11%に満たなかった。上海市についても124万1,500人にとどまっていた。国内旅行市場が回復し、アウトバウンド(中国人の出国旅行)も回復基調にある中で、インバウンドが停滞していたのは、航空便の回復が不十分でフライト料金が高止まりしていたことが背景にある。
しかし、それ以上に外国人にとってハードルとなっていたのが、中国渡航に煩雑なビザ手続きを必要としたことや、中国国内の移動・宿泊・飲食・観光に伴うスマートフォン決済が外国人にとっては不便を来たしていたことが大きい。今年に入り、訪中する外国人に向けた決済環境は飛躍的に改善された。英語を始めとした多言語でのガイドブックも作られるなど、外国人の受け入れ体制が整備された。
上海訪問外国人が2.8倍に
そんな停滞していた中国インバウンド市場も今年に入り、完全復活を遂げた感がある。中国国家移民管理局が7月5日に行った発表によると、今年1月から6月までの外国人の入国者数は152.7%増の1,463万5,000人で、短期ビザ免除措置による訪問者数は190.1%増の854万2,000人に上ったという。
このほか今年1月から6月にかけて上海の口岸を経由して入国した外国人の数は約203万5,000人に達し、昨年同期の約2.8倍となったことも明らかになった。また、中国OTA最大手の携程(トリップドットコム、上海市)の発表によると、4月から6月の「144時間トランジットビザ免除」を利用した中国旅行のオンライン予約件数が1月から3月よりも28.0%増加したという。
市場復活の象徴「City不City」
こうした中、中国では昨今、外国人ブロガーが中国旅行中にショート動画で発した「City不City(city bù city)」「好city啊(Shànghǎi hǎo city a)」というフレーズが流行語になっている。都市を意味する「city」を形容詞として使った表現で、本来は名詞である”City”に「都会的」「エキサイティング」「刺激的」「モダンで洗練されている」といった意味を持たせた使い方だ。
ちなみに、中国語で「是不是(shì bù shì)」という表現は疑問文で使われる定番の構文で、「〜でしょうか?」や「〜ですか?」という意味になる。そうしたことから「City不City(city bù city)」の語呂の良さは出色しているかもしれない。仮に文法を度外視した日本語でこれを表現するとしたら、「都会的アルか?」「おしゃれアルよ」といった感じだろうか。
短期ビザ免除が追い風に
中国のインバウンド市場復活を象徴する現象ともなった「City不City(city bù city)」。この反響の大きさに観光業界も市場活性化に自信を深めたようだ。中国政府も「短期ビザ免除措置の拡大により、人的交流や経済交流が一層活発化している」(国家移民管理局報道官)との認識を示している。
なお、中国では現在、18の省(自治区、直轄市)にある38の対外開放港で、54か国の旅行者に対して72時間または144時間のトランジットビザ免除政策を実施している。2024年7月時点での対象国・地域および適用口岸(出入国検査場)の最新リストは以下のとおりだ。(編集:耕雲)
京津冀(北京市、天津市、河北省)区域
江浙滬(上海市、江蘇省、浙江省)区域
広東省
遼寧省
参考