食用油に化学汚染リスク、中国メディアが報じた運送過程の不都合な“真実”
いま中国では食用油の安全問題に熱い視線が注がれている。新京報の報道によれば、化学液体を運搬したタンクローリーが荷下ろし後、食用油の運搬に流用されるだけでなく、タンク内の洗浄も行われていないケースが存在するというのだ。
食用油に化学液体が混入?
中国で現在、市場に出回っている食用油に化学用の液体が混入しているのではないかという不安が消費者の間で広がっている。事の発端は、化学液体を運搬したタンクローリーが荷下ろし後、食用油の運搬に流用されるだけでなく、事前にタンク内の洗浄も行われていなかった実例を中国紙「新京報」が詳細に取り上げたことだ。
食品安全に重大なリスクをもたらすこの問題に対して、中国国務院の食品安全監督部門は9日、食用油の輸送に関する調査チームを設置したと発表し、違反行為を厳しく取り締まると表明した。
車両を洗浄なしで流用、「公然の秘密」に
新京報の報道では、中国儲備糧(シノグレイン)や匯福粮油の事例が取り上げられている。これらの企業は、石炭液化燃料を輸送したタンクローリーを洗浄せず、そのまま食用油、大豆油、シロップなどの食品の輸送に使用していたという。そのためタンクローリーの運転手や食用油メーカー、運送業者の食の安全に対する意識の低さが批判を招いている。
2014年6月から中国で施行された「食用植物油のバルク輸送規範(GB/T30354-2013食用植物油散装运输规范)」では、食用油の輸送には専用車両を使用し、非食用油を運搬するタンクローリーや衛生的に問題がある容器の使用が禁されている。しかし、この規範は推奨レベルにとどまり強制力が欠けているのが実状だ。そのため、規制の抜け穴を利用して化学液体の輸送に使用したタンクローリーを食用油やシロップの輸送に流用することが運送業界では「公然の秘密」となっていると新京報は報じている。
看過できない健康リスク
今回食用油への混入リスクが言及された灯油は、たとえ少量であっても長期にわたって摂取されれば、発がん性、催奇形性、変異原性などの慢性的な健康被害を来たす懸念がある。そのほかの有機溶剤、酸、アルカリ、重金属といった化学液体についても毒性が強く、呼吸器系や消化器系に損傷を与えるリスクが大きい。
化学液体を運んだタンクローリーが荷下ろし後に洗浄されないまま食用油の運搬に流用される問題は、今回初めて白日のもとにさらされたわけではない。The Paper(澎湃新聞)の記事によると、2005年には南国早報が、2015年には湖南テレビ・都市チャンネルが、それぞれ化学物質を輸送するトラックに食用油が違法に積まれた事態を暴露し、有害成分との“交差汚染”リスクに言及したとされる。
尽きることがない食の安全問題
新京報は1回400~500元ほどの洗浄コストを節約するために、タンクローリーの運転手が開口部を拭うだけで対応している実例を紹介している。仮に有害物質を食品に故意に混入させる行為が認められた場合、中国刑法第144条「生産、販売有毒有害食品罪」に抵触する可能性が高い。ただし、刑事罰が適用されるかどうかは、行為者が有害物質の残留について認識していたかどうか、タンクローリーの洗浄の有無や時間経過など、具体的な状況や証拠を総合的に考慮する必要があるというのが法律家の見解だとされる。
「油」をめぐる安全問題といえば、下水から回収した「地溝油」を再精製し、食用油として販売していた事件が印象深い。その前後にも中国では「食の安全」をめぐる問題が尽きることなく世間を賑わしており、生産、加工、流通、消費、すべてのプロセスでより厳格な監視が行われることが望まれている。(編集:耕雲)
◉「食の安全」をめぐる主な事件
2003年:中国茶DDT検出事件
2005年:スーダンレッド事件
2006年:毒キノコ中毒事件
2007年:段ボール肉まん事件
2008年:冷凍餃子中毒事件
2008年:メラミン混入粉ミルク事件
2010年:地溝油事件
2011年:プラスチックライス事件
2013年:肉類偽装事件
2016年:有害農薬使用野菜事件
参考