2025年、中国の空港インフラは量的拡大の加速を続けた。広州白雲国際空港は年間旅客数8000万人を突破し、2030年には1億2000万人、貨物取扱量600万トンという壮大な目標を掲げる。
上海では第3空港となる南通新空港プロジェクトが始動。2035年の完成時には年間8000万人の受け入れが可能となる見通しだ。大連では人工島に世界最大規模の海上空港建設が進行中で、完成は2035年を予定している。香港国際空港は2025年9月に第2旅客ターミナルの段階運用を開始し、粤港澳大湾区では広州、深圳、香港、マカオの空港群が「世界レベルの空港クラスター」を形成しつつある。
とはいえ、日本の空港も世界に誇る指標を多数持つ。英国スカイトラックス社が2025年4月に発表した世界空港ランキングでは、羽田国際空港が総合3位、成田国際空港が5位にランクイン。羽田は「世界最清潔空港」部門で10年連続世界1位、「最優秀国内線空港」では13年連続トップ。5スターエアポート評価も2025年12月時点で12年連続獲得という快挙を成し遂げた。
旅客数でも、羽田空港は7000万人以上の空港カテゴリーで世界第1位。成田空港は2025年度上半期(4~9月)の国際線外国人旅客数が1159万人と、年度上半期として過去最高を記録した。旺盛なインバウンド需要は、日本の空港を「質」だけでなく「量」でも存在感を大きなものにしている。
しかし、日本の空港が全国の数値をかき集めても、中国の1空港のレベルに遠く及ばない指標が存在する。それが「標高」だ。
日本で最も標高が高い空港は、長野県の信州まつもと空港(松本空港)で、標高は657.5メートル。2位の福島空港(372メートル)を285メートル上回り、国内では群を抜く。周囲を北アルプス連峰や美ケ原など1500~3000メートル級の山々に囲まれ、空気が薄く気流が複雑なため、「日本一着陸の難しい空港」とも呼ばれる。計器着陸装置(ILS)の設置が困難なほか、滑走路も2000メートルと短いため、パイロットには高い技術が要求される。
そんな松本空港が背中を捉えることさえできない存在が、中国に数多く存在する"高高原空港(超高地空港)"だ。たとえば、青海省にある玉樹空港の海抜は3890メートルに及ぶ。松本空港の標高に日本アルプス最高峰の北岳(3193メートル)を加えて、ようやくこの数値に達する。それでも中国の標高ランキングでは9位にとどまるのだから、上には上がある。
ちなみに中国で最も海抜が高い空港は、チベット高原東端に位置する四川省の稲城亜丁空港で、標高は4411メートル。松本空港の実に6.7倍であり、富士山の山頂(3776メートル)よりも高い。この稲城亜丁空港は、2024年8月には中国国産旅客機ARJ21の高高原空港試験飛行にも成功し、世界最高標高の民間空港としての存在感を示した。
もっとも、この差は優劣ではなく、地理的多様性の反映に過ぎない。日本の空港の多くが平地や海岸線に近い場所に建設されているのに対して、中国は広大な国土の中にチベット高原やヒマラヤ山脈を抱え、標高4000メートルを超える地域に民間空港を運営する技術力を備える。
松本空港も稲城亜丁空港も、それぞれの地域で「高み」を体現する存在として輝きを放つ。2026年、新年を迎えた私たちは、改めて「高み」の意味を問い直す時を迎えた。それは単なる物理的な高度ではなく、人間が目指すべき何かを象徴する概念だ。
NHKの報道によれば、松本のインバウンド需要が極めて好調だという。訪日客の間で松本への訪問が「高みを目指す」象徴的行為として価値づけられたことも、旅行目的先としての優先順位を押し上げる要因になったと言えるだろう。(編集:耕雲)
【初出】邦人NAVI WeChat(Weixin)公式アカウント http://mp.weixin.qq.com/s?__biz=MzA5ODkxMjIxMw==&mid=2650728821&idx=1&sn=49b61f338c9b85461f2027354861e898&chksm=88801bcfbff792d93c20ed2f8746be27fdfae5a91309ccbb2ca1951981a94d2d8b419ecfa767#rd



